海面は地球の皮膚。

昨日、横浜へ行った。
「平塚ショウ展 The sea 海面シリーズ2013」を観るために。

ATELIER・K、JR石川町駅のすぐそばにある。

小ぶりで瀟洒な画廊、「海面シリーズ」、と名づけられた平塚ショウの作品が展示されている。

それぞれの作品、紙に2Bの鉛筆で描かれている。

この作品を観てみよう。
額装されていないこの作品、とても存在感がある。平塚ショウ、1970年前後の数年、杉全直の教えを受けている。筋金入りの前衛である。
<2009年より始めた海面シリーズの作品は、鉛筆で描き、指紋のようにひとつとして同じものはない>、と平塚ショウは記している。しかし、そればかりではない。より近づこう。

平塚ショウ、1年近く前、犬飼三千子の個展会場で会った人。飲みに行き、大震災と原発の話をし、絵描きだと分かった人であるが、その時の話、私はひとつ間違えた。
「海は地球の皮膚」、ということを「海は地球の襞」、と聞き間違えてしまった。
参考資料を添えた強烈な手紙が届いた。襞じゃなくて皮膚なんだ。私は、早く会って詫びたい、と思っていた。今回、そうした。

より作品に近づこう。
鉛筆で描いているんだ。

右の方にある作品は大きい。

横から見る。
鉛筆で描かれた長尺の軸である。

正面から観る。
凛とした感。他のどこにもない、これでしかない、という感じ。

<森羅万象の宙に在る地球、地球を包む海は、身体に必要不可欠な皮膚のよう>、と平塚ショウは記す。

指紋の如く、同じものはない。
2Bの鉛筆、単色であるが故に、かえって多くの色彩を感じる。豊饒の海である。

立体作品もあった。タイトルは「予感」。

「木を加工し、ジェッソを塗った上に鉛筆で描いた」、とショウさんは言う。確かにそう。そうであって、どうなのか。命題は続く。モノクロームの不思議な美。
画廊、ATELIER・K、JR石川町駅から元町の方へ向って1、2分、三甚ビル3階。
平塚ショウ展、今月いっぱい開かれている。時間のお有りのお方はどうぞ。深く静かな空間に身を置くことができる。