東博の桜(続き×2)。

東博の桜、花が終わったからといって飽きさせない。

今日まで催されていた東博の「博物館でお花見を」イベント、本館のあちこちの展示室で妖艶な桜花が咲き誇っていた。そのいくつかを。
まずは、この時期、東博が誇るこれである。

「花下遊楽図屏風」 六曲一双。その左隻。
狩野長信(1577〜1654年)筆。国宝である。
満開の桜の下で唄い踊る江戸期の人たち。中には男装の女もいる。髪型も凝っている。桜花の下、皆さん傾いている。

その右隻。
中央の2扇は、修復時焼失して失われた。桜花が描かれていたようだ。

「打掛 白綸子地枝垂桜花車模様」。江戸時代 18世紀。
<腰から上に枝垂桜と中啓(宮廷で用いる末広がりの扇)の模様を、腰から下に・・・・・を刺繍した打掛>、と説明書きにある。

左は、「小袖 白綸子地若松桜幕模様」。江戸時代 18世紀。
説明書きには、<花見小袖にふさわしい一領。・・・・・、桜が咲き誇る景は、・・・・・>、とある。
右は、「銀地竹桜蝶模様」の綴帯。やはり江戸時代のもの。

「桜に春草図」。
尾形乾山(1663〜1743年)筆。
尾形乾山、京都の呉服屋の息子。あの尾形光琳の弟。あの仁清に作陶を習っている。絵画遺品は、70歳を越えた頃から、という。だから、この桜花の軸も、おそらく、そう。

春信である。
「風俗四季哥仙・弥生」。鈴木春信(1725?〜1770年)筆。中判 錦絵。
桜花の下の町娘、いかにも春信らしい。

「桜蒔絵硯箱」。室町時代 15〜16世紀。
<文様は、金の薄肉高蒔絵を主体に銀蒔絵を交えて描かれている。蓋の表から身の内に収められた懸子や金銅製の水滴にいたるまで、すべてに桜の意匠がとりいれられており、桜の花に寄せる日本人の愛着が・・・・・>、と説明書きは続く。
思わず引きこまれるような、素晴らしい硯箱である。

「桜西行蒔絵硯箱」。江戸時代 18世紀。
<蓋表に満開の桜と、その下に憩う老僧の姿を描く。いわゆる花見西行の図である>、と説明書き。なるほど、そうか。

「色絵唐花文皿」。鍋島 江戸時代 17〜18世紀。
<鍋島焼きの典型である木盃形の七寸皿。・・・・・。周囲を五方割りにして華麗な唐花で飾りながら、一転して中央は白抜き部分が桜花となって現われ、・・・・・>、との説明。
東博のあちこちの展示室に、桜花は咲き乱れていた。だが、ここいらで、東博の桜、打ち止めとしよう。