ラグビー早明100戦目。

12月最初の日曜は、関東大学ラグビー対抗戦、最後を飾る早明戦の日。今年は、1923年以来の対抗戦と、大学選手権での対戦を合わせて丁度100戦目となる。

ここ数年の対抗戦、帝京大が強い。頭ひとつ抜け出ている。今年もそう。
ところが先週、その帝京大が筑波大に負けた。実は、このところ筑波も強いんだ。今年も強い。早稲田は力を落としている。先日の早慶戦、久しぶりに見たが、迫力はなかった。勝ちはしたが。明治はどん底を抜け出した。10年ぐらい前から、明治の低迷が続いていた。どうした明治、頑張ってくれ、と思わず叫んだ対戦相手のファン、大勢いたことだろう。私も、そうである。
ラグビー、明治が弱いと面白くない。ましてや早明戦、強力フォワードの明治、「前へ」の明治でないと面白くない。その明治が戻ってきた。あの吉田義人が監督となり4年となる。力をつけてきた。
今年の明治、この早明戦に勝てば、6勝1敗で帝京、筑波と並び、3校優勝となる。早稲田が勝てば、帝京と筑波の2校が優勝で、早稲田と明治が共に3位となる。早稲田が負ければ、13年ぶりの4位に沈む。
試合は、明治が先行し、前半を、明治19点、早稲田13点で終えた。しかし、後半に入り、早稲田が立て続けにトライを上げる。3トライ、2ゴール。2本目のラインアウトからの、1、2番のトライなど、ンッ、こんなこともできるのか、というトライ。
早稲田、前半終了時の13対19から逆転、32対19と点差を広げる。明治、2トライ、2ゴールをあげないと逆転できないというスコア。
ところが、ゲームはここから俄然面白くなっていく。後半20分過ぎから、早稲田ゴール前の攻防が続くんだ。
早稲田のゴール前、明治の強力フォワードによる攻撃が続く。早稲田の防御、低いタックルでトライを許さない。
早稲田ゴール前の5メートルスクラムほど、心臓の高鳴るものはない。明治のフォワード、押しに押す。早稲田のフォワード、耐えに耐える。ヘタしたら死んじゃうかも、というくらい心臓がバクバクする。
後半20分過ぎからの早稲田のゴール前、攻める明治、護る早稲田、という状態が続く。

後半22分03秒の攻防。

後半24分09秒。前の情景から2分経っている。
しかし、やはり早稲田ゴール前の攻防は続いている。明治が攻め、早稲田が守る攻防、この後も続く。
しかし、その中で、後半32分、レフェリーは認定トライを宣する。明治の認定トライ。ゴールも決まり、32対26。6点差に詰め寄られる。1トライ、1ゴールで、早稲田、逆転されるスコアとなる。

後半40分34秒。ロスタイムは2分。またもや早稲田ゴール前だ。

明治フォワードの攻撃を早稲田は防ぐ。
度重なる早稲田ゴール前の5メートルスクラムも防ぎきる。耐え抜く。この早稲田のゴールライン上の攻防も防ぎきる。

たまらず明治、ボールを廻す。

こぼれ球を拾った明治のNo.8・古谷、ゴールポスト下へトライ。ゴールも決まり、33対32。ここでノーサイド、明治が逆転勝利する。

明治、早稲田に勝ち6勝1敗。帝京、筑波と並び、対抗戦3校優勝となる。
関東大学ラグビー対抗戦、明治の優勝は14年ぶりである。明治のスター・吉田義人が監督に着いてから4年となる。吉田義人、涙声でインタビューに応えていた。
それにしても、明治が攻め早稲田が守る、早稲田ゴール前の攻防、見応えがあった。結果としては、明治が認定トライも含め、2トライ2ゴールで逆転したが。
早稲田ゴール前の攻防、25年前、1987年12月6日の「雪の早明戦」を思い出す。You Tubuの画像から。

このゲーム、試合終了前の8分間、早稲田ゴール前の攻防が、日本ラグビー史に残る伝説の場面。
前日からの雪で、グラウンドのあちこちには雪。スコアは早稲田から見て、10対7。1トライでひっくり返る緊迫した場面である。早稲田のゴール前に張り付いている。

早稲田ゴール前の5メートルスクラム、双方のフォワードがぶつかると、湯気が立った。
このゲーム、早稲田のスクラムハーフ・堀越正巳、明治のウイング・吉田義人がデビューした年である。その後、共にジャパンで活躍、吉田は落ちこんだ明治を14年ぶりの対抗戦優勝に導いた。

25年前の「雪の早明戦」、早稲田ゴール前の攻防を防ぎきり、早稲田が10対7で勝った。
早稲田、その後の大学選手権でも勝ち、日本選手権でも東芝府中を下し、日本一となった。学生が社会人に勝つことなど、ラグビーの世界ではとても難しい。稀有なケースである。
それはそれとして、早明戦での早稲田ゴール前での攻防、とてもエキサイティング。
なお、100戦目までの戦績は、早稲田の55勝43敗2分け。これからも楽しみ。