人類史は、貧困史。

経済史と限定せずとも、より広い人類史そのものが、貧困史と置きかえられるのか、という印象を持った。
3日前深夜のNHKBS、「アニメ貧困史」。サブタイトルは2本。一つは、「貧しさはどこからやってきたのか」、もう一つは、「貧困とはどういうことか?」。現在のさまざまな問題、景気、原発、領土、その根底、”貧困”というキーワードなしに語れない。

人類は、ホモ・サピエンス、知恵ある人とか知性人とか、と言われてきた。ホモ・ルーデンスもよく知られる。遊ぶ人である。ホモ・エコノミクスというのもある。経済活動をする人。
しかし、HOMO POVERUS(ホモ・ポベラス)なんて言葉は初めて知った。貧しさをする人、貧困者、か。
この番組、アニメに写真も混じえ、石器時代から現在までの貧困の歴史をたどる。

狩猟・採集生活が営まれていた石器時代、人々は常に貧困や死の危険にさらされていた。初期文明の時代になっても、多くの人々が十分な食料や医療を受けられなかった。バビロニアや上の写真のような古代エジプトに於いても。
世界のほとんどの人は、貧しかった。


時代は下る。
ヨーロッパ列強による植民地収奪の時代に。
これは早い時期。インカが、その財宝をスペインの侵略者に奪い取られた。

さらに時代が下る。
アフリカの人たちが、奴隷として新大陸・アメリカへ送られる。アフリカの文明が、ヨーロッパの文明を凌駕していた時代もあった、と言うのに。

ヨーロッパでも貧しさ、貧困の問題、大きな問題であった。
これは、19世紀初め、チャールズ・ディケンズ著『オリバー・ツイスト』の世界。オリバー・ツイスト、こう言うんだ。
これ以前からヨーロッパでは、”慈善”という考えが出てき、”救貧院”が出現する。

この間、貧困の問題についてさまざまな人が心を砕く。
古くは、ブッダも。

孔子も。

このヒゲを生やした男は、カール・マルクス。
そのマルクスも。

ガンジーも。

この男、アメリカの第34代大統領、ハリー・トルーマン。
第二次世界大戦を制したアメリカ大統領・トルーマン、こう言い放つ。「今、世界の半数以上の人が悲惨な状況で生活している。貧困は、その国だけの問題ではない。アメリカは、貧困を絶滅するための技術を手にしている」、と。
今、思えば、アメリカのスタンダードが、世界のすべてのスタンダードであった時代。

”マオの大躍進”、という文字が見える。
その後、1960年前後の中国の模様。毛沢東の、人海戦術による大躍進運動、失敗に終わる。何千万にも及ぶ人が死んだようだ。貧困者を越えた存在。
[
帝国主義20年、工業化50年、共産主義70年。これは、ロシアのケースなのかな。
ロシアのケースも失敗だ。貧困を多く生み出した。しかし、今なお、コミュニズムの時代が懐かしい、という人が多くいる。
人類の歴史、あっちもこっちも貧困だらけ、となった。
人類、地球、歪なものとなっている。