初金は、この女の子。

北島康介もどこかおかしく、金どころじゃない結果。一体誰が何時金を、と思っていた。
それは、この女の子によってもたらされた。

松本薫。柔道女子57キロ級の選手。
福見友子や中村美里は知っていたが、松本薫は知らなかった。
試合会場に入り、自らの出番がくるまで、この顔つきで前方を睨んでいる。何ごとかをつぶやきながら。時々顔をしかめる。組手を確認しているのか、両手を動かす。その間、ずっと前方を睨んでいる。
鬼気迫る感がある。決勝まで勝ち進んだ。

決勝の相手はルーマニアの選手。

一旦は有効を取るも、取り消される。5分では決着がつかず延長に入る。
と、ルーマニアの選手に反則技が出た。試合は終わった。松本薫、金メダルを取った。

やっと取った日本初の金メダル、おそらく今まで、ほとんどの日本人は知らなかったであろうこの女の子・松本薫によってもたらされた。

男子73キロ級の中矢力も頑張った。決勝まで勝ち進んだが、最後の最後でロシアの選手に敗れた。本人は「金を狙っていたので・・・・・」、と言っているが、立派なものだ。で、写真を1枚。青の柔道着が中矢である。

女子57キロ級の表彰式。
優勝は日本、準優勝はルーマニア、3位はフランスとアメリカ。
気持ちいい。愉快である。

その4人。金の松本薫も、銀のルーマニアの選手も、銅のフランスとアメリカの選手も、4人が4人とも笑っている。
彼女たちの着ているユニフォームに目を向けけた。日本の濃紺のユニフォーム、ルーマニアはもちろん、フランスやアメリカよりもシックである。

優勝者を先頭に場内を巡る。多くのカメラに取り囲まれる。多くの歓呼の声にも。
勝負ごと、やはり、勝たねばならない。この4人の選手の顔つきを見ているだけで、そう思える。