リオ五輪 人間模様。

高校を出た後カヌー先進国のスロバキアに渡り、カヌー一筋で10余年という羽根田卓也のような男もいる。大病を乗り越え銅メダルを取り、その病気が機縁で結婚に至ったという星奈津美のような女もいる。

金藤理絵、北京五輪へは出たが、ロンドン五輪へ出ることはかなわなかったそうだ。
何度も何度も現役引退、ということが頭をよぎっていた、という。しかし、東海大以来指導するコーチが叱咤激励する。この人、熱血コーチである。「お前はできる」、と言い続ける。

昨日の女子200メートル平泳ぎ決勝。

予選2位通過の金藤は5レーン。
100メートルでは2位。

150メートルでトップに立つ。

金藤、ぐんぐん飛ばす。

金藤、1着。
優勝、金メダル。

2位以下、ぶっちぎりと言っていい。
金藤、金メダル。

27歳の金藤理絵、水泳チームのキャプテンだそうだ。
さまざまな人への感謝の言葉を述べる。
中でも、大学時代以来のコーチのことを。「加藤先生を信じて、ついてきてよかった」、と。たしかにこのコーチ、凄い人である。
たしかに、加藤コーチがオリンピック・チャンプ・金藤理絵を創った。
昨日、テレビ画面には金藤の子供時代のコーチも出てきた。
広島県三次市の市営プールのコーチ。50代と思われる兄妹。共に真っ黒に日焼けした顔をしている。子供の頃の金藤について聞かれ、とてもこのようなことになろうとは思ってもいなかった、と話す。
田舎の市営プールのコーチも世界チャンプを作ったんだ。
とても愉快。




男子200メートル個人メドレー決勝。

スタート。

萩野公介 6レーン、藤森太樹 1レーン。
そして4レーン フェルプス、5レーン ロクテ。

100メートルでは、ロクテが先行。

が、150メートルを切り、萩野公介が上がってくる。
150メートルを超えたクロールで萩野が来る。

萩野、フェルプスに次ぎ2着。

勝った怪物・フェルプス、指を4本立てる。
この種目、4連覇、ということのようだ。

藤森太樹が惜しかった。
タッチの差で4位となった。

萩野公介、これで金、銀、銅、すべてのメダルを取る。
次代のフェルプスの予感もある。




ライブでは見ていないが、柔道男子100キロ級で羽賀龍之介がメダルを取った。銅メダル。
シドニー五輪での井上康生以来16年ぶり。
井上康生のメダルは金であったが、まあよかろう。

本人は悔しそうだが、重量級でメダルを取ることとても難しい。
羽賀龍之介、よくぞやった。




卓球男子の水谷隼、銅メダルを取った。
日本初の個人メダル。
実は、女子の愛ちゃん・福原愛が快進撃を続けていた。準決勝、さらに3位決定戦で負けるまで。愛ちゃんの試合は見ていたが、水谷隼の試合は見てはいなかった。

水谷隼、3位決定戦に勝った後、このポーズから仰向けにひっくり返る。よほど嬉しかったのであろう。
水谷隼、こう語る。
「男子の卓球も、女子卓球と同じようにみんなに興味を持たれるようになればいいのだが」、と。
そうなるかな。
愛ちゃんに石川佳純、それに15歳の中学生、女子の方がやはり面白そうだな。



柔道、最終日である。
原沢久喜は、はたしてリネールに勝てるのか。

原沢、1回戦、2回戦、準々決勝と勝ち進む。
もちろん、リネールも同じ。

このクラス、桁違いの選手が登場する。
右の白い道着のルーマニアの選手、身長204センチ、体重170キロ。デカすぎる。

が、ウズベキスタンの選手に敗れる。

山部佳苗、1回戦、2回戦、準々決勝と勝ち進む。

山部佳苗、原沢久喜、ともに準決勝へ歩を進めた。
ここまではライブで見た。



リネール vs 原沢。

が、原沢、わずか8秒で指導を受ける。

1分には2度目の指導。
原沢、まともに柔道をさせてもらえず、リネールに敗れる。

原沢は2位、銀メダルである。
リネールには太刀打ちできなかった。
どころで右端の3位・銅メダルの選手、青いユニフォームの選手、イスラエルの選手である。
このイスラエルの選手、1回戦でエジプトの選手と戦い、一本勝ちを修めた。
柔道の場合、勝負がついた後は互いに礼をし握手をする、時には抱き合うのが礼儀である。
しかし、勝負に敗れたエジプトの選手、礼をしないばかりか握手もしない。勝ったイスラエルの選手が手を差し伸べているのに、後ずさりする。で、そのまま立ち去る。
この試合を解説していた穴井隆将、「「礼をしないのはいけませんね」、と語る。
冗談じゃないよ、穴井隆将。
穴井隆将は、井上康生世代の次の日本柔道界を担う男である。
その男が、この程度の問題意識しか持ちあわせていないなんて悲しい。穴井、柔道ばかりじゃなく国際情勢も勉強しなくてはならない。アラブとイスラエルの問題も。
礼以前に、エジプト選手の行動、許すべからざるものである。直ちにリオ五輪から追放してしかるべきである。IOCは、今後1年程度の資格停止処分にすべきである。
私は昨日夜半、この試合をライブで見ていた。

イスラエルの選手がエジプトの選手を担ぎ技で葬り去った。鮮やかな一本であった。
が、エジプトの選手はこのような行動に出た。
IOCはどう対応するか。見過ごすなんてことは、許されないよ。

それにしても、テディー・リネールのこの面貌を見ると、原沢でなくともビビるよね。

女子78キロ級の山部佳苗は頑張った。

よくぞ金を取った。

柔道、12個のメダルを取った。過去最多。
男は全階級で。

男子監督・井上康生、この顔である。
直後に涙がこぼれる。
「4年前のロンドンでは屈辱の涙を流した。今回は最高の選手と最高のスタッフで・・・」、と井上康生は語る。
涙声で。