パラリンピック、駆け足で。

リオパラリンピックが始まって半分ぐらい経ったのかもしれない。何やかやで、半分も見ていない。半分どころか、さほど見ていないのかもしれない。
それにしても、パラリンピックって、オリンピックに比べめったやたらに競技種目が多い。
視覚障害にしても、その度合いに応じて幾つもに分けられている。「切断、機能障害」となっている手や足のない選手も、幾つかにカテゴライズされている。当然と言えば当然である。が、ややこしい。ややこしいが奥が深い、とも言える。
義足のジャンパー、マルクス・レームが健常者の記録をも上回っているのに、同じ走り幅跳びでやはり義足の山本篤が金メダルに近い、と何故言われているのか。不思議だな、と思っていた。が、解った。
同じように足を切断している選手であるが、マルクス・レームは膝から下を切断しているのに対し、山本篤は大腿部を切断している。だから、別種目であり、共に金メダル候補だってことが。マルクス・レームはT44であり、山本篤はT42。末尾の数字が少ないほど障害の度合いが重いんだってことが。

リオパラリンピック、駆け足で追っかける。

リオパラリンピック、日本のメダリスト第一号は柔道の廣瀬誠であった。視覚障害60キロ級。

視覚障害者の柔道、組み合ってから始める。
だから、動きが速い。通常の柔道のように組み手の切りあいで、技をほとんどかけないなんてことはない。技のかけあい、面白い。

廣瀬誠、残念ながら決勝でウズベキスタンの選手に一本負けを喫した。
しかし、銀メダル。凄い。

表彰式で国旗があがる。
金 ウズベキスタン、銀 日本、銅はルーマニアとモンゴル。

日本はともあれ、ウズベク、ルーマニア、モンゴルという国々、なにか味があるな。

柔道視覚障害66キロ級、藤本聡の3位決定戦。

藤本聡、積極的に攻める。
勝つ、銅メダル。

金はまたもウズベキスタン、銀はアゼルバイジャン、そして銅はウクライナと日本。
日本を除き(日本を入れてもいいのかな)、ウズベク以下ロシアの周辺国ばかり。アゼルバイジャンにしろウクライナにしろ、みなロシアにいじめられている国である。
このような国、格闘技は強い。

そういえば、リオパラリンピックにはロシアは参加を認められなかった。
国ぐるみのドーピング違反とされたため。当然である。そうではあるが、ロシアがいないのは少し寂しい気もする。
アゼルバイジャンの選手にしろウクライナの選手にしろロシアの選手を破って表彰台に上がりたかったであろう。北の白熊を打ち負かしての場とそうでない場では、カタルシスの度合いが違うよ。

競泳100メートル背泳(知的障害)決勝、津川拓也が銅メダルを取った。

津川拓也、「がんばったことが、うれしいです」、と語る。
そうだ。嬉しい。
開会式翌日の日本のメダリストは、上の3人ではなかったか。

開会式翌日のライブ映像。
7人の女性が立っている。みな、片足が義足。美しい。

T44、つまり膝から下を切断した人の走り幅跳び決勝。
出場選手は、オーストラリア、イギリス、フランス、オランダが2人、日本が2人。

この光景、幻想的ともいえる。

イギリスの選手、最初の跳躍で大きく跳んだ。

フランスの選手の跳躍は、それをも超えた。

メダル候補の中西麻耶の跳躍。
いまひとつ。

足ばかりか左腕もないオランダの選手。
ハンデの度合いは大きいはずだが、素晴らしい助走、堂々とした態度。
[
優勝したフランスの選手の跳躍。
安定した強さがあった。

高桑早生の助走。
高桑早生、助走のスピードを生かして、という跳躍であるが、義足の力を活かしていない。前へではなく、上へでなければいけないんじゃないか、義足の効果をより高めるには。

メダルが期待された中西麻耶、残念ながらメダルには届かなかった。
しかし、中西麻耶、女性度においては出場7選手の中で抜きん出ていた。ダントツである。31歳ということもあるかもしれない。7選手の中では最年長かもしれない。
助走前、くびれた腰に手をあてているこのポーズなど、妖にして艶なるものがある。

中西麻耶、最後6回目の跳躍。

記録は伸ばしたが、メダルには届かず。

女子走り幅跳びT44の結果。
中西麻耶、メダルには15センチ足らなかった。

中西麻耶、ライバルたちとハグをする。
みな、ライバルであり仲間なんだ。

試合中は表情が硬かった高桑早生にも笑顔が戻ってきた。
高桑早生はまだ20代前半、世界中の義足ジャンパーと命懸けで競うのはこれから。
素人の私が言うのも何であるが、跳躍の技術面において、前へではなく上へ、という意識を持ってくれれば記録は伸びる、と思うのだが。コーチと共に、検討してもらいたい。