みんぱく(続き×2)。

こういう博物館は、特急や急行で廻るべきじゃなく、鈍行でゆっくりと巡るべき。そのこと重々解かっているのだが、なかなかそうも行かないこともある。
アイヌの文化ゾーンへ。

サハリンアイヌの山丹服。
<アムール下流域は俗に山丹と呼ばれ、もたらされた清朝の官吏の錦の服を最高の晴れ着としていた。これをアイヌから入手した和人は、蝦夷錦として珍重した>、と。美しい。

アツシ衣。
オヒョウの樹皮(アイヌ語でアットゥシ)の繊維で織る。いつも思うが、これも素晴らしい。

日本の文化ゾーンへ。
すまいの道具、となっている。蓑などだ。

お面。

右の方は、”けずりかけ”や”幣”などの神仏の座。
”けずりかけ”は、木肌の表面を削って造りだしたもの。<人々は、これに神の宿りをみていた。呪力をこめた祝い棒として、豊作を祈願する祝い箸として、また祭の造り花として・・・・・>、と説明にある。
また、”幣”は、<けずりかけと共に、神の所在を表す標識として、日本の祭や芸能に欠かせないものである。切り紙と折り紙がつくりだす不思議なかたちが、人々の神々への連想をさそった>、というもの。
この写真の左の方は、縄の造形である。
こういう説明がなされている。
<縄目や結び目に呪術的な威力をこめようとする考えは、しめなわをはじめさまざまな縄と綱の造型を生んだ。・・・・・聖域としての証であり、・・・・・超人的な力の表現であった>、と。
ここは、特急や急行でなく鈍行だ。
そこで思う。
私は、みんぱくは素晴らしい博物館だと考えている。このこと、何度も書いたことである。世界に誇る博物館だ、と。同種の博物館として、5、6年前、パリにできたケ・ブランリー美術館よりも素晴らしい、とも。
ところが、いつであったかは忘れたが、半年か1年前だったか、池澤夏樹がこんなことを書いていた。<ケ・ブランリー美術館は面白い。これから何度も行きたい>、というようなことを。
池澤夏樹、今の日本の物書きの中では、旅する作家の一人である。思索の旅もあるが、美術、博物への旅もある。『パレオマニア 大英博物館からの13の旅』(集英社インターナショナル、2004年刊)なんて、「オッと、こういう視点もあったのか」、というとても面白い”美術+旅本”もある。
その池澤夏樹が、ケ・ブランリーは面白い、と言っている。私は、一度しか行かずに、あまり面白くないな、と思った。よくは憶えてはいないが、私は、ケ・ブランリーには鈍行で行かなかったのかもしれない。特急ではないにしろ、急行で廻ったのかもしれない。
今一度、行かねばならないな。

展示室を出た後には、こういうコーナーもある。
”見てさわる”というところの後には、こういうところがある。
”見ないでさわる”、というところ。

ここから手を入れてさわるんだ。
もちろん、点字の説明もある。

その先には、探求ひろばがある。
別に図書館があるが、ここで調べものをすることもできる。後ろの方には、約600のプログラムを持つビデオテークがある。

ミュージアム・ショップには、梅棹忠夫の著作コーナーがある。

ショップの出口近くには、今和次郎の著作も。

みんぱくを出、大阪モノレールの駅へ歩く。
これが見えてくる。
太陽の塔の後ろ、こういう顔である。