ドジョウの器量。

一昨日、米議会は、韓国とのFTA(自由貿易協定)法案を可決した。
日本の自動車産業はじめ輸出産業には、大きな打撃だ。ただでさえ、超円高なのに。日本は、どうするの。
FTAとか、TPPとか、EPAとかという言葉をよく眼にする。要は、関税その他の通商障壁を取っぱらおう、自由にやろうじゃないか、というもの。少し乱暴に言えば。EPAやTPPでは、物資のみならず、人、投資、サービスなどの分野でも、ということらしい。
日本、TPPへの参加をどうするか、ということでもゴタゴタしている。こちらは、環太平洋地域だから、アメリカや、オーストラリアや、カナダや、シンガポールや、ペルーや、ベトナムや、といった国々との自由貿易協定。多くの民主党の議員が反対しているらしい。主に、小沢の系統の議員連中が。今は、様子見を決め込んでいる自民党議員の中にも、反対派は多いようだ。
FTAにしろ、TPPにしろ、EPAにしろ、基本的に例外は認められない。これはいいけど、あれはいやだ、ということは認められない。だから、農協団体の親分・JA全中の会長などは、猛反対している。TPPなどを結んだら、日本の農業、大打撃を受ける、と。
JAの親分の気持ちは解かる。しかし、果たしてそれでいいのか。遅れをとるよ、将来。ヘタをすると、周回遅れになってしまうよ。2年近く前、民主党が政権を取った後の、事業仕訳のひとコマを思い出す。
蓮舫、スーパーコンピューターの開発予算を削減した。「世界一になる必要があるのか。二番ではダメなんですか」、と言った。この蓮舫の言葉、その後、袋叩きにあった。私も、科学技術の研究予算を削るなんてけしからん、と思った。その後、「はやぶさ」の快挙などもあり、国民すべて、日本の技術は凄いものだ、と思った。一番にならなくちゃいけないんだ、と。
なでしこジャパンであろうと、世界体操で内村航平が史上初の3連覇を遂げようと、世界で一番は、国民すべて、気持ちいいもの。嬉しいもの。それと同じ、と私には思える。今、自由貿易の波に乗れるか、乗れないか、ということは。
一番や二番どころか、ヘタをすれば、10番や、20番になってしまう恐れがある。JAの親分はじめ世界の潮流である自由貿易に反対している人たちは。おそらく、この人たちも、蓮舫の「二番ではダメなんですか」、の言葉には、「トンデモナイことを言う女だ」、と思っていた人たちに違いないんだ。その論理、矛盾している。
韓国は、TPPには参加しないようだが、FTAには積極的。アメリカに続き、EUや中国とも結ぶそうだ。韓国内でも、農業団体は猛反発している、という。しかし、イ・ミョンバク、それを押さえこんで、FTA、自由貿易へ突き進んでいる。イ・ミョンバク、強力なリーダーシップを発揮している。韓国の将来のため。オバマにも歓待されている。
翻って、日本のドジョウはどうか。ドジョウ、2〜3日前、どこかの農村へ行った。トラクターに乗ったり、道の駅でナスかキューリを買っていた。ドジョウ、TPPに参加する意向を持っているもの、と見える。その前段のパフォーマンスをしているんだ。
果たして、TPPへの参加に踏み切ることができるか。ドジョウの器量が問われる。
役所とか、役人とかというものは、あまり好きではない。が、経産省の試算では、韓国がアメリカ、EU、中国とFTAを結び、日本がTPPへの参加も、EUや中国とのFTAも結べなかった時には、日本のGDPは、10.5兆円減り、81万人強の雇用が失われる、とある。
日本の一次産業従事者は、約5%、300万人強。これらの人たちへの手立ては、また別個に考えるとして、国家百年の計、熟慮すべきであろう。食料安保とか、食料防衛論なんてことを持ちだす輩も、さて置いて。
ただ、大震災に見舞われた今年、放射能の実害や、風評被害を受けている東北、北関東のことごとがあり、それらの人たちのことを思うと、決断には、悩ましい状況にはあるのだが。