ノンビリ。

樹木希林と尾久彰三の二人旅を追った、2〜3週間前のNHKの番組、あちこちで行き会う人、面白い人が多い。
一昨日載せた佐渡のオヤジさんも、ノンビリとしていていいねー、という人だった。店番は、カミさんに任せ、自分は、穴を開けた醤油樽の中で一杯やっているのだから。おまけに、「カエルの音が絵にできれば一番」、なんて浮世離れのしたことも宣っている。
ノーテンキと言えばノーテンキであろう。ここ数日のマスメディア、リーダーシップがどうこうとか、信念を持ってどうこうとか、ということが声高に報じられている。しかし、この佐渡のオヤジさんも、リーダーシップや信念を持っている、とは言えるのじゃないか。
この時、尾久彰三、こういうことを言っていた。「こうでなくっちゃね。夫婦は、こうでなくっちゃ」、と。
その後、樹木希林が返した言葉が、面白かった。「相手にもよりますからねー」、という言葉をポツリと返した。
思わず笑った。樹木希林の亭主は、お騒がせで知られる内田裕也である(あった、とも言えるが)。樹木希林のポツリの言葉には、リアリティーがある。面白くもあり、深みもある。
それに対し、尾久彰三は、こう切り返した。「私のところは、何も問題はありませんがね」、と。そうかどうかは、知らないが、

尾久彰三、自分の部屋で一杯やっている映像も出てきた。さすが、醤油樽ではなかったが。それよりも、部屋の中、案外スッキリとしているのには驚いた。あちこちで蒐めたものが、もっと詰め込まれているものだとばかり思っていたので。しかし、ノンビリとはしているな。

近寄ると、目の前には、染付けの皿がひとつ。皿に見える茶色い3〜4切れのものは、カラスミだろう。撮影するということで、奮発したかな。それはともかく、ノンビリとノンビリと飲んでいる。
画面の”あって無きがごとく 存在が”、という言葉は、どういう経緯で出てきたのか、忘れた。感じとしては、何となく解かるような気もするが。
それにしても、佐渡の醤油樽の中のオヤジさん同様、尾久彰三も平穏らしい。ノンビリとして。
カラスミなどじゃなく、せいぜいメザシで酒を飲んでいる私も、ノンビリでは負けないが。