やはり、大リーグだった。

今日の朝日の夕刊を見た時、驚いた。先週、最後の任務を終えてケネディ宇宙センターに帰ってきた、スペースシャトルの写真が載っている。
いや、1面とか3面とかの話ではありませんよ。中面の「大リーグが大好き!」の話。
オッ、雨が降ろうが槍が降ろうがどころか、大震災があろうが原発がメルトダウンしようが、そんなことなどどこ吹く風、ひたすら大リーグのことのみを書いてきた向井万起男も、宗旨変えしたか、と思いましたね。
書き出しも、<人類初の月面到達を目指したアポロ計画が本格的に始まったのは1961年>、となっているしね。
向井万起男、アメリカの宇宙開発に詳しいし、スペースシャトルは、カミさんがらみのことも多くあるし、スペースシャトルは、人類に限りなく大きな貢献をしましたよってなことを書こうと思ったか、と思いましたよ。
ところが向井万起男、そうではないんだ。やはり大リーグのことでした。冒頭のアポロ計画云々に続くセンテンスは、<その年、大リーグでは後世にまで語り継がれる出来事があった>、となっているので。
何でもこの1961年には、ヤンキースのロジャー・マリスが、ベーブ・ルースの年間本塁打60本を破る61本塁打を打った年なんだそうだ。
アポロ11号の月面着陸は1969年。向井万起男こう続けているんです。
<その年、大リーグでは後世まで語り継がれる出来事があった>、と。あまりに弱く、お荷物球団と呼ばれていたニューヨーク・メッツが、ワールドシリーズを制覇した年、と。
アメリカの宇宙プロジェクトが節目を迎える年には、大リーグでも後世に語り継がれる出来事があったそうだ。向井万起男がそう言うのだから、間違いない。アメリカの宇宙計画と大リーグに強い向井万起男が言うのだから、そうであろう、と思わざるを得ないことになる。
何しろ、字数の限られているコラムの中で、<その年、大リーグでは後世まで語り継がれる出来事があった>、というフレーズが4回も出てくるのだから。これは信じなきゃ。
<先週、30年にわたったスペースシャトル計画が幕を閉じた。・・・・・今シーズンの大リーグ。これから、後世に語り継がれる出来事が何か起こるかもしれない>、と向井万起男は締めくくる。
毎週水曜日に掲載される向井万起男のこのコラム、送稿は、前週末か週初めであろう。間に合わなかったのだな。一昨日、松井秀喜がア・リーグの週間MVPに選ばれたという大きな出来事が。
先週の松井秀喜、5試合、21打数で12安打、打率5割7分1厘、日米通算500本塁打を含む2本塁打、7打点。6年ぶりに週刊MVPに選ばれたんだもの。
甘いのは承知の上、後世まで語り継がれる出来事にしてもいいのじゃないか。ただし、「その年、大リーグでは」、というところを、「大リーグの松井ファンには」、と何文字か、ほんの少し変える必要があるが。
来週の「大リーグが大好き!」で、向井万起男このことについてもチョッピリ触れてもらいたい、と思っている。そう思っている人、私ばかりじゃないはずなんだけど。
「天声人語」を読むために朝日新聞をとっている人、いないわけじゃない、とは思うんだ。でも、「大リーグが大好き!」を読みたいがために朝日新聞をとっている人は、確実にいると思うな。どの程度の数かは知らないんだけれど。