高校野球 甲子園。

27年前になるが胃を切った。早期の癌であった。
医者は「あなたは運がいい。早いうちに見つかった。2/3ほど切ればいい」」、と言った。医者が「早期」、「早いうち」と言う割には多く、2/3以上切り取られた。そのおかげで再発はせず、今も生きているが。
しかし、その代償はあった。身体の肉がなくなった。あまり食べることができなくなった。古い言葉で言えば「骨皮筋衛門」となった。自分自身、自らの裸を見るのが嫌になった。典型的な月一ゴルファーであったが、それまで15、6年やってきたゴルフもやめてしまった。
それ以来、自らするスポーツというものは何もやらなくなった。歩くことさえあまりしない。ウォーキングなんてとんでもない。
しかし、見るスポーツは好きである。
相撲、ラグビー、ボクシングその他の格闘技、その他何でも。
先ほどもジャカルタのアジア大会の水泳競技で、日本と中国の国歌が代わりばんこに流れるのを、日中対抗戦じゃないんだけどな、ウーン、と思いながら見ていた。
ところで、この「流山子雑録」には野球のことはあまり出てこない。まったくではないが。
松井のことやマーくん、今なら二刀流の大谷のことなどが気になる。また、野球がらみでは「雨が降ろうが槍が降ろうが大リーグ」の向井万起男のことは何度か記した。
野球、嫌いなワケじゃないんだ。が、特別に好きということでもない。
巨人がどうとか、阪神がどうとかってことにはあまり関心がない。TV中継もめったに見ないし。
第100回大会となる甲子園での夏の高校野球も、何日か前、初めて見た。
3日前か、テレビをつけたら高校野球をやっていた。準々決勝、金足農業と近江高校の対戦、8回裏の場面であった。2対1で近江が勝っていた。
9回となり、近江、ノウアウト1、2塁となった。ここはバントで塁を進め追加点を取るのがセオリーであろう、と思っていたらそうじゃない。近江、この場面で強硬策に出た。驚いた。失敗した。近江の監督、秋田の農業高校をナメてんのか、と思った。こうなりゃ、秋田の農業高校に肩入れしよう、と考えるのは理の当然。
おそらく日本全国のテレビを見ている人たち、そのほとんどは秋田の農業高校の応援団になったに違いない。
私は見ていないが、昨日の準決勝では、秋田の農業高校・金足農高、東京の日大三校を破った。
で、今日の決勝戦、相手は大阪桐蔭。

新聞評でも、甲子園では何が起こるか分からないが、ワンサイドということも考えられる、というもの。妥当な考察である。
大阪桐蔭、大阪とはいえ、地元大阪の選手は1/3もいない。あとは関西や四国、九州、中部地方から野球の上手い選手を呼び集めたもののよう。それらの野球エリートを1年365日、1週間7日、朝から晩まで野球一筋の生活を送らせている模様。集団での寮生活、親に会うのも2か月に1度、ということらしい。
このような環境が、この秋のドラフトで契約金1億円、年俸1500万円、という選手を育てていくようだ。
秋田の公立高校である農業高校が、このような高校に勝てるワケがないよ。
いかに甲子園には魔物が住むとは言え。

たしかにそうなった。
大阪桐蔭、こうであるばかりか史上初となる2度目の春夏連覇を達成した。

決勝戦はワンサイドゲーム。
これも当然と言えば当然か。
高校野球、今年夏の甲子園。