夜の桜。

夜、近場の公園へ桜を見に行く。
常の年なら提灯が下がっているのだが、もちろん、今年はそのようなものはない。それに、盛りも過ぎている。風も吹いた。
人、だれもおらず。

暗闇の中、桜花がボォと浮かんでいる。
月も出ていた。お月さまもひとつ齢をとり、昨日よりは少し丸くなっている。あと何日かすれば満月だ。

散り残っている桜花、光り輝いているように見える。
夕刻の昨日の月は白かったが、夜の月は黄色く見える。

闇の中、固まって残っている花もある。安吾の鬼でも出てきそう。

まさに、花七日。足許の小道には、花の塵がほの白く浮かんでいた。

低い一枝に近寄った。残桜5割に、桜蘂5割。
今年の桜、短かったような気がする。桜木も、震災のことを解かっているのかもしれない。