今年の桜、これでオシマイ。

このひと月の間、その2/3、20日ほどは、桜のことを載せていた。だが、今日で終わろうと思う。
先月27日、近所の公園の桜を見に行った時の小さな蕾から、散った桜花まで。ほとんど近場の桜ばかり、中には、銀座7丁目の桜のように、手前勝手にこじつけたものもあった。
近場ばかりとはいえ、ひと月の間に、こんなにちょくちょくと桜を見に行ったことは、今までになかった。なんにもないが、時間だけはあり余る、という身になったということだろう。
今日も近所の中っくらいの公園へ行った。10日か半月ほど前には、満開の桜花で覆われていた桜木は、どの木もどの木も、透き通るような葉桜に変わっていた。変わっていないのは、広場で遊ぶ小さな子供たちぐらい。

手の届く新緑に触れてみた。
葉の裏は、サラッとした感じだったが、表側は、シットリとした温もりのある感じであった。薄くて、なにより、柔らかい。つい先日生れたばかり、つい先日生れでた命、だということがよく解かる。

土の上には、降った桜蘂が、あちこちに見うけられる。
風に吹かれてであろう、降った桜蘂、小さな雑草の周りにかたまっている。
降る前には、赤味が強い桜蘂だが、降った後、昨日今日の温かい陽に打たれてであろう、赤味は消え、褐色になっている。手で掴むと、指の間で崩れ、パラパラと落ちた。土に帰った。
今年の桜、これで終わりにするので、最後に、今年の桜この一枚、を載せようと思った。これぞ、というヤツを。
先ほど、パソコンの中を見てみた。数だけはあった。しかし、残念ながら、これぞ今年の桜この一枚、という写りのいいものがない。
困った。単に、私の腕が悪いだけなんだが、やはり、困る。さんざ迷った末に、これにした。

アングルは少し違うが、今月初め、「東博の桜」で載せたものと同じ桜木だ。
東博の本館裏の庭園の中にあった桜木、御帝吉野(ミカドヨシノ)だ。
御帝吉野とは、いかにも、という名を付けられた桜木であるが、白色でもなく赤味が勝つでもない上品な花色の桜木であった。樹高の高い桜木で、その満開の桜花、印象に残っている。
今年の桜、これでオシマイ。
また来年。生あれば。
     花の下には 風吹くばかり    安吾