桜に烏。

一昨日、近場の桜を見ていたら、カラスが一羽飛んできた。

スゥーと飛んできて、桜木の枝にとまった。

近寄ると、黒い鳥、やはりカラスだ。

花の蜜を吸うでもない。啼きもしない。

しばらく首を動かしていたが、またスゥーと飛んでいった。
”梅に鶯、柳に燕”。また、”松に鶴”、”藤に不如帰”、”桐に鳳凰”。花札では、桜には花見の幔幕が取り合わせ。大役ではあるが、少し平凡。鳥でもなければ、動物でもない。
で、”桜に烏”。
淡い色調の桜花に漆黒のカラス。案外、趣きがあるのではなかろうか。そう思うの、私だけかな。
宮沢賢治に、「からす百態」という詩がある。
春ではなく、季節は冬。一羽ではなく、カラスの群れ。雪の中のカラスを詩んだもの。
昭和5年(1930年)、病床の中での文語詩。その初めと終わりのみ。

     雪のたんぼのあぜみちを
     ぞろぞろあるくからすなり
     ・・・・・
     ・・・・・
     ・・・・・
     西にとび行くからすらは
     あたかもごまのごとくなり