無名戦士。

1キロはあるが2キロはない、というところにドトールがある。毎日ではないが、よく行く。
今日も行った。ゆっくりと歩いていき、文庫本を読みながらコーヒーを飲み、煙草を何本か吸う。帰りもゆっくりと歩いて帰る。
暗くなってから帰ってくると、福島第一原発で3人の作業員が被曝した、というニュースが流れていた。関連企業の作業員だそうだ。うち2人は、ベータ線熱傷というものだという。作業前に放射線の測定をしていなかった、ともいう。どうも東電の管理、手法に問題があるらしい。
東電HPの福島第一原発に関するプレスリリースの中に、「負傷者等」という個所がある。最新、今日の午後6時のプレスリリースには、11日の地震発生以来の「負傷者等」の数が載っている。
11日以来今日まで、11回、29人の人たちが、作業中に、負傷したり気を失ったりしている。それを仔細に見てみた。
東電社員が、4回、計6人。協力企業作業員が、3回、計6人。いずれなのか記載されておらず、不明なのが、4回、計17人である。
東電のプレスリリースでは、”協力企業作業員”となっているが、言ってみれば、東電の下請け企業の作業員であろう。今日、被曝した作業員も含め。
放水を続ける自衛隊員や、東京消防庁、助っ人に駈けつけた大阪や横浜の消防隊員も、命を賭している。それと共に、彼らのように表には出てこないが、命を賭している東電社員や、その下請け企業の作業員がいることを、忘れてはならない。彼らは、無名の戦士である。
今、日本は、二つの戦争を戦っている、と考える。
ひとつは、日本の誇りを護る戦い。これは、政府が担っている。あとひとつの戦いは、現場での戦い。これは、避難所にいる人たちであり、この人たちを助けている医者や看護師、ボランティアの人たちであり、福島第一原発で命を張っている人たちの闘いである。
そのいずれの場にもいない者は、何をすべきか。私は、こう考える。
そのひとつは、批判をしないこと。東電の対応に問題があろうと、今は、それをどうこう言わない。今、8割の人が嫌いである菅直人や民主党政権に対しても、今は、どうこう言わない。日本、全体主義国家でもなければ、独裁国家でもない。今の政権も、民主的手続きのもとに生まれたものである。批判は、後回しにする。
お前はバカだ、と言われようとも、私は、東北や北関東産の野菜を食う。今後出てくるであろう三陸沖のイワシやサバも食うつもりである。若い人たちには勧めないが、年寄りの私は、そうする。
スーパーで何を買えばいいのかとか、いつまでこのようなことが続くのかとか、情報がないので不安だとか、そのようなことは言うべきじゃない、と考える。そのような言葉を聞くのは、虚しく、哀しい。少なくとも、風評被害を助長するようなことには、加担したくない。
与謝野馨によれば、今回の大震災の被害総額は、16〜25兆円になる、という。阪神淡路大震災の比ではない。差し当たり寄付をした人も、これからは毎月1回寄付をすること、習慣にすればいいのじゃないか、と考える。他人さまに強制はしないが、私は、そうする。
この戦い、長期戦になる。日赤は9月末まで寄付を募っている。差し当たりはそれまで、毎月1回。せめて必要額の1割程度は、民間の草の根の寄付で、と考える。
名もなき無名の戦士、命を賭して、日本の為に戦っているのだから。