ホウレンソウ。

福島第一原発1〜6号炉のすべてに、外部電源が繋がった。3号炉では、中央制御室へも通電され、電気が点いた、という。
これで冷却水が廻るのかどうかは解からないが、一歩前進であるのは、確かである。東電及び関連企業の作業員、命を賭して作業を進めている。
初めて知ったが、大手建設企業の社員が、原子炉建屋の周りの瓦礫の撤去に携わっているそうだ。ある作業員、2時間ほどの作業を、5〜6回続けた、と語っている。驚いた。
自衛隊員にしろ、東京消防庁の隊員にしろ、助っ人に駈けつけ加わっている大阪その他の消防隊員にしろ、警察官にしろ、また、今では、東電及び関連企業の社員にしろ、さらに、瓦礫の撤去作業にかかっている建設会社の社員にしろ、すべて、自らの命より自らの任務の方を、優先しなければならない人たちである。よくやってくれている。国を救うために、危険な任務を果たしてくれている。国民は、幾重にも感謝しなければならない。
ところが、築地の卸売市場では、出荷停止になった茨城、福島、栃木、群馬産のホウレンソウばかりじゃなく、他県産のホウレンソウまでが売れていない、という。ホウレンソウばかりじゃない。茨城、福島、栃木、群馬の他の野菜も取引がガクッと落ちている、という。末端消費者が買わないから、返品、キャンセルがあいついでいるらしい。
虚しい。哀しい。
今日は、海水からも放射性物質が検出された、という。そりゃそうだろう。地上に落ちれば、海にも落ちる。当然だ。今後は、魚からも検出されるだろう。
しかし、放射線の専門家の話では、ホウレンソウにしろ、海水にしろ、注意はしなければならないが、今すぐ健康に影響を及ぼす値ではない、と言っている。食べればいいんだ。いや、食べなければいけない。
値の高い放射線の漂う中で、命を張っている男たちが多くいる。そこから遠く離れた場で、1年間食べ続けてもCT1回分程度、というものを食べない、買わない、なんてこと、とても虚しい。ホウレンソウばかりじゃなく、4県の他の野菜まで。こういう話を聞くと、虚しさと共に、また、無力感に襲われる。
暴論、と受けとられること、重々承知の上で書く。
65歳以上のリタイア世代は、ホウレンソウも含め、東北、北関東産の野菜を食べるべきである、と考える。私も含めこの世代、過去は問わず、今、国家に対して何らの貢献もしていない。せめて、風評被害に泣く農家を救うぐらいの手助けはしたい。