知らない原発。

隠棲願望の強かった私、仕事をやめた後、仕事上で付き合っていた多くの人との付き合いをやめた。やりとりしていた年賀状も同様。大幅に減らした。昔の半分ほどだ。今も、そう。
今年来た年賀状の中に、こう書かれているものがあった。<謹賀新年 私は昨年7月より東電福島原発の緊急対応工事に赴任しております。・・・・・>、という賀状。
差出人は、リタイアした後知りあった人だが、今50前後、バリバリ現役の男で、学生時代、バスケットをやっていたという偉丈夫。大手ゼネコンの社員である。
巨大企業・東電は、数多くのグループ企業を持っている。しかし、原発事故の収束、東電はじめグループ企業、関連企業だけで為されているわけではなさそうだ。私のところに届く少なくなった年賀状の中にも、緊急対応工事のため福島に赴任している大手ゼネコンの社員がいるのだから。
そこで考えた。恐らく、原発事故の収束には、日本の名だたる企業が関わっているのではないだろうか、と。大手ゼネコンばかりじゃなく、さまざまな分野の大企業が。その意味でも、原発事故の収束、オールジャパンとなっているのであろう。当然、各企業、損益を考慮した企業原則に則って。今まで、知らなかった原発だ。
それはともあれ、工事の安全管理業務の責任者として福島へ赴任したという偉丈夫、いい男なんだ。<お手本がなく、難しい仕事です>、と記した後に、<福島のために、日本のために、子供たちの未来のために、微力ながら頑張ります>、と書いている。
どういう緊急対応工事かは知らないが、おそらく福島では、こればかりじゃなく、さまざまな対応作業が続けられているのであろう。多くの男が、人知れず働いているのであろう。私たちが知らない原発の場で。