本田のPK。

PK戦となり、その一番手に本田圭佑が出てきた時、実は、イヤな予感がした。
本田のヤツ、また真ん中に蹴るんじゃないか、と思ったんだ。
本田のことだ、そう考えていること多分にある。5〜6割の確率で、真ん中に蹴るに違いない。そうなれば、3〜4割の確率で止められるのじゃないか。そう思った。
いや、昨日のアジア・カップ準決勝、日韓戦のことだ。
詳しいデータは知らないが、サッカーのPK、入る確率は、8割強であろう。5回蹴れば、4回以上の確率で成功するだろう。キーパーがそれを阻止するのは、技量もあるが、多分に”ウン”にも左右される。技量3分に運7分、といったところではないだろうか。
2人続けてPKを阻んだ昨日の川島永嗣は、その反射神経の素晴らしさもさることながら、大きな運も付いていたものだろう。ただ、3人目に出てきた韓国のキッカーがゴールポストを外したのは、運ではない。きっと彼は、川島の技量、反射神経を恐れていた。前の2人が止められたのを見て。ゴールポスト、ギリギリを狙わなければ、川島にハジかれる、そう考えたに違いない。そして、外した。これも、川島の持つ技量、と言えなくはない。
ところで、本田圭佑のPKだ。ゴールネット右上に突きさした。私の予想は、外れた。よかった。ホッとした。私の予想が杞憂に終わって。
前後半で決着がつかなかった昨日の日韓戦、延長戦に入った。延長前半、岡崎慎司がPKを貰った。多分に甘いジャッジであったが、PKだ。本田圭佑が蹴った。ど真ん中に。相手ゴールキーパーにはじかれた。こぼれ球を、つめていた細貝萌が押しこんだからよかったが、本田のPKは止められたんだ。真ん中に蹴ったボールは。
だから、私は、PK戦となり本田が出てきた時、本田は、キーパーの裏をかき、また真ん中に蹴るのでは、と思ったんだ。本田圭佑、そういうヤツだから。しかし、私の予測は、杞憂に終わった。
試合後、本田圭佑はこういうことを話していた。PK戦になった時、また真ん中に蹴ろうか、と考えた。しかし、今のボクには、まだその勇気はなかった、と。
それはよかったが、本田圭佑、”今のボクには、まだその勇気は”、と言っている。その内、よりキャリアをつめば、PKを蹴る時には、2度でも3度でも、同じコースに蹴ることを考えている、ということではないか。ウーン、困った御仁だ、本田圭佑は。
本田の美学は解かるが、同じコースに蹴ること、やはり、止められることは多いよ。そこんところ考えてくれなきゃ、本田クン。日本国の代表なんだから。
PK戦で思い出すのは、去年のワールドカップの決勝ラウンド、パラグアイ戦だ。PK戦で敗れた。
3人目に蹴った駒野が外した。駒野、これで記憶に残るサッカー選手となった。”泣くな、駒野。駒野よ、泣くな”の。しかし、私が強い印象を持っているのは、駒野の次ぎ、4人目に出てきた本田のPKだ。本田、軽くヒョイと蹴ってゴールを決めた。
洒落ている、と言えば洒落ている。粋だ、と言えば粋である。だが、私は、本田圭佑、10年早いぞ、そんな蹴り方をするのは、と思った。その時。
本田圭佑、去年のW杯では、デンマーク戦でのFK、ブレる無回転の弾丸シュートが、大方の印象に残る場面だろう。だが、私には、それと共に、パラグアイ戦でのPK、軽くヒョイと蹴った本田のPKが想い出深い。
昨日の2度のPKもそうだが、ニクいヤツだ、本田圭佑というヤツは。
そうだ、昨日のヒーローのひとり、川島永嗣の試合後の写真も載せておこう。ドーハからのテレ朝のライヴ映像。

中央は、ファインセーブを繰り返した川島永嗣。その右の13番は、PKではじかれた本田圭佑のボールを押しこんだ細貝萌。左の5番は、昨日も大活躍の長友佑都だ。