銀座の屋上。

銀座のビルの屋上に上がった。面白かった。
久しぶりに、娘夫婦、それに、双方の親夫婦6人で会食した。若いふたりが指定してきたのは、銀座の小ぶりな日本料理屋。モダンに昇華させた和の空間、と言うものらしい。清潔でこじゃれた店だった。小さなビルの中に入っている。
板場も接待人も、すべて男ばかり。出すぎず、飽きさせず、感じがよかった。夜と違い、昼の会席は、値段もリーズナブル。出てくる料理も美味かった。話も、弾んだ。行儀が悪いが、料理の合間に手洗いに立った。ついでに、煙草を一服、と思い喫煙所を聞いたが、小さなビル、それはない。「屋上には、灰皿があるのですが」、と接待人の男、申しわけなさそうに言う。
で、5階だったか6階だったか、屋上に上がった。灰皿があった。吸殻を入れる缶が。しかし、それと共に、表通りから見える建物や、洒落た店の中の趣きとは、また別種の光景もあった。
何のかの、と言っても、銀座は洒落た街である。新宿や渋谷とは、まるで違う。パリやロンドンにも洒落た街はあるが、銀座のシックなたたずまいは、それに劣らない。しかし、中央通りには、大きな建物もあるが、1本裏の通りには、案外小さなビルが多い。この店が入っているビルも、そう。通りに面し、小さなビルが、くっついて建っている。
そのそれぞれのビルには、料理屋もあれば、事務所も入っている、という雑居ビルである。ほとんどは、賃貸であろう。オーナーの管理がよほど行き届かないと、屋上の手入れなど、そう行われない。銀座のビルの屋上に上がったことなど記憶にないが、面白かった。

屋上への出口。

白と黒に塗られた鉄製のテーブルとイスがあり、その上に、吸い殻入れがあった。ブリキの缶で、錆が出ていて、味があった。

エアコンの屋外機があちこちにある。鉢植えの植物も多くあるが、この角の鉢植えは、枯れていた。

こちら側には、エアコンの屋外機が幾つもある。パラボラアンテナも。

こちらの角の鉢植えは、まだ緑っぽいな。やはり、エアコンの屋外機もあるが。

向かいのビルの屋根には、貯水タンクのようなものが乗っていた。
しかし、こうして見ると、パイプが走り、銀座のビルの屋根というより、どこかの工場のようにも見える。面白いものだ。

これは、このビルの一角。やはり、貯水タンクのようなものが、ふたつある。

すぐ斜めには、このビルより高いビルがある。その側面は、変哲もなく綺麗だが、その屋上はどうだろうか。おそらく、このビルと同じじゃないかな、と思う。
老舗料亭で研鑽を積んだ、というオーナーシェフの料理も美味かったし、話も弾んだが、銀座の小さなビルの屋上の景観も、趣きがあった。