セイサク君とセイコちゃん。

昨日ノーベル賞を取った、鈴木、根岸両先生のクロスカップリング反応、医薬、農薬、液晶はじめ、さまざまなものに使われている、とのこともあり、日本の先端技術いかばかりか、と思い、SEATEC JAPAN 2010へ行く。
SEATEC、世界最先端のIT・エレクトロニクスの展示会。アジアでは、最大規模だという。幕張メッセの広い会場に、それこそ数えきれないほどの企業、その他の組織が出展している。ウイークデーだというのに、来ている人も多い。案内図を頼りに、これ、というところだけを見る。

ここは携帯や何やの集まっているところであった、と思うが、こういうゾーンが8つある。

東芝、日立、パナソニック、ソニー、シャープ、・・・・・といった名の知れた家電メーカーの、今年のテーマは、どうも、3Dとエコのようだった。各社、ブースの装いは異なるが、内容は同じようなもの。大型の3Dの映像とエコ関係。申し合わせたように。
並ぶのはイヤなので、大型の3D映像は見なかったが、小さいものは、幾つか見た。皆こういうようなもの。映像も、海の中とか、動物とか、スポーツものが多かった。しかし、メガネをかけての3Dは、一過性のものに思われるな。たしかに、飛び出してくる映像、迫力はあるが、日常の中では、あんなメガネなどいちいちかけてなどいられない。そう思う。

これは、AQUOSだからシャープのもの。アートに、というものであったが、どういうわけか、肝心の映像部分がボケている。
いや、待てよ、実際の映像もこうだったのかもしれない。アートだから。

実は、今日の私のお目当ては、これ。村田製作所のムラタセイサク君と、ムラタセイコちゃんだ。
自転車に乗るセイサク君は、何年か前に見たことがある。しかし、一輪車に乗るセイコちゃんを見るのは、今日が初めてだ。
なお、セイサク君は、身長約50センチ、体重約5キロ、彼のモットーは、七転び八起きだ。また、セイコちゃんは、身長約50センチ、体重約6キロ、彼女のチャームポイントは、活発だけど照れ屋さんだそうだ。

ステージの方に行くと、彼らの公演は、1時間に1回。次回が始まるまで、30分以上ある。
おそらく、村田製作所の社員であろう男女ふたりと共に、セイコちゃんが練習をしている。どうも、バランスをとるのが、なかなか難しいようだ。

担当のふたり、何度もやり直している。

ちょうど、子供が一輪車の練習を始めた時と同じ。担当者のふたり、支えていた手を離したり、また支えたりしていた。セイコちゃんも、頑張っていた。
結局この練習、次の公演が始まるまで、30分以上続いた。
周りに人はあまりいなかったが、私は、ずっと見守っていた。

まず、セイサク君が走りだした。そろりそろり、と。

少し進んだ。
セイコちゃん担当の女性は、セイサク君が走っている時でも、ジッとセイコちゃんの方だけを見ていた。

セイサク君、アップダウンのある道を走りきった。
正面のモニターに映っているように、セイサク君は、左下の村田製作所の女子社員(ポニーテールの女性)の前にいるんだ。
セイサク君は、場数を踏んでいる。危なげなく走りきった。

いよいよセイコちゃんの番だ。セイコちゃんは、生れてからまだ日が浅い。セイサク君に較べ、経験も浅い。
しかも、細いS字カーブの道だ。上手くいくか。


ゆっくりゆっくり、慎重に慎重に進む。
頑張れ。そうだ、いいぞー。

セイコちゃん、ついにS字にカーブする難コースを走りきった。やるじゃない、セイコちゃん。
担当のふたりも、ホッとした顔をしていた。

村田製作所のブース。いうまでもなく、村田製作所、ロボットを売っている会社ではない。
このような電子部品を作っている企業だ。見た感じは、昔の鉱石ラジオの部品のようなもの。大きさも小さいし、何やら簡単そうに見える。ところが、そうじゃない。これが凄いものなんだ。
セイサク君もセイコちゃんも、これらの一見単純に見える電子部品から成り立っている。
例えば、ショックセンサ(タッピングによる加速度の変化を検知)とか、ロータリポジションセンサ(出力電圧の変化により回転角度を検出)とか、その他、○○センサとか、○○センサタグとか、○○コンバータとか、○○システムとか、聞いてもよく解からないような、先端技術の集積だ。
それが、セイサク君やセイコちゃんを走らせた原動力となっている。
小さな部品ばかりだが、それが村田製作所の力。凄い。
何だか、村田製作所の宣伝みたいになってしまったな。ハハハ。つまらないことを聞く私にも、丁寧に答えてくれたので、余計にそうなったのかもしれない。
しかし、何百社も出展しているCEATECの中で、セイサク君とセイコちゃん、そして、村田製作所のことだけを贔屓にしてもいけないので、あと2つ3つ、載せておこう。他は、それほど見ていないのだが。

ゼンリンの地図。
この画面は、新宿の西口近辺だ。
階層構造で、より詳細な3D表現実現、となっていた。グーグルのページビューとはやや異なる。

京セラの液晶。
一見ハイテクには見えないが、これが先端技術が詰まっているものだそうだ。
昨日のノーベル賞のふたりの先生の、クロスカップリング反応も利用されているのか、と聞いたら、そうです、と言っていた。
ハイテク、ロウテクなんて、見た感じで決められるものじゃないんだ。

TDKのディスプレイ。
コンパニオンの可愛い女の子が、1670万色が表わせる、と言っていたが、説明書には、そんなことは書いてない。曲げられる、とは書いてあるが。
コンパニオンの女の子の思い違いじゃないか、とも思うが、ネクタイを締めた、技術屋らしき男が何人も重なって覗いていたので、1670万色ではなくても、相当高いレベルのディスプレイなのだろう。
まあしかし、今年のCEATEC、セイサク君とセイコちゃんだな。私には。