大ガラス。

昨日の夜、本を探している時、タイムライフから出されたデュシャンのものも見つかった。
『巨匠の世界 デュシャン』。著者は、カルヴィン・トムキンズ、日本語版監修は、東野芳明、1978年刊。
軽井沢の高輪美術館で開かれた「マルセル・デュシャン展」のチケットの半券が、挟んであった。1981年の8月、高輪美術館移転開館記念展、となっている。セゾン美術館(この当時は、西武美術館と言っていたが)の姉妹美術館の高輪美術館が、この時、軽井沢に移ったんだ。なお、この高輪美術館も、今はセゾン現代美術館となっている。
デュシャン展を見るために、わざわざ軽井沢に行ったのではない、と思う。30年近くも前のことなので、よく憶えてはいないが、おそらく、何かの用のついでに寄ったのか、あるいは、寄る為に何らかの用をつくって行ったのか、どちらかであったろう。
いずれにしろ、デュシャンの大がかりな展覧会など、この後もおそらく、開かれていないのじゃないか。印象派などと違い、商業的にペイするとは思えないもの。
それはさておき、デュシャンといえば、「大ガラス」。昨日のマン・レイ展でも、マン・レイが撮ったデュシャンの「大ガラス」の記録写真があった。マン・レイとは、終生交友関係が続いた。
1887年生れのマルセル・デュシャン、1902年から絵を描き始めるが、1923年には絵画を放棄する。その後は、あの「泉」(美術に少しでも関心のある人なら、ああ、あの便器、というあの作品です。学校の教科書にも載っているかもしれない。20世紀最高の作品、という人もいる)をはじめとするレディメイドの作品を時折り発表するだけ。1968年に死ぬまで、人生の過半をチェスをして過ごした。
それでいて、マルセル・デュシャン、美術家ばかりでなく、20世紀の多くの芸術家に、最も強い影響を与えた芸術家のひとり、と言われる。
出てきたタイムライフブックスから、「大ガラス」の図版を何枚か載せよう。

表紙裏の「大ガラス」の後ろのマルセル・デュシャン。

「大ガラス」。
ページが丸くなるので歪んでいるが、現物は、直線。2枚のガラスの間に、さまざまなものが挟まっている。
1915年から1923年にかけて制作された。この後、レディメイド以外は、発表しない。死ぬまでチェスをするだけ。伝説の人となる。
この作品、今、フィラデルフィア美術館にある。
どういうものかって、説明すること難しい。カルヴィン・トムキンズが長々と書いているので、その初めの部分だけを写しておく。

こういうものです。
といっても、これじゃ作品自体の説明にはなっていないが、それは省く。私にも、よく解からないので。

こういうものと・・・・・

こういうもの、とで構成されているのです。
20世紀を代表する作品のひとつ、なにやら難しい。