マルセル・デュシャンと日本美術(続き×3)。

この秋、「ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪」という映画が公開された。
あのグッゲンハイム美術館のグッゲンハイム、その一族のペギー・グッゲンハイムに関するドキュメンタリー。とても興味深い映画であった。が、私が行った時の観客は7、8人。キネマ旬報の直営館でも限定公開1週間というのも理解できる。
莫大な金を持つお嬢さんであるペギー・グッゲンハイム、ヨーロッパで新しいアーティストの作品を、ビッグネームであろうとなかろうと買い漁る。ピカソ、ダリ、エルンスト、・・・、・・・、と。多い時には、1日に1点の作品を。それと共に、ペギー・グッゲンハイムの男遍歴が凄いんだ。男を選ぶ基準は容姿などではなく、その男が芸術家であるかどうか、というもの。
まあ、ハチャメチャに面白いこの映画については後日改めて記したいが、その中で、ペギー・グッゲンハイムがこう言っているんだ。
「1921年、親友のメアリー・レイノルズの恋人であったマルセル・デュシャンと会った。アートについては彼からすべて教わった」、と。
この点、スケールは大分異なるが、名家のお嬢さんである白洲正子が青山二郎や小林秀雄から教えを受けた、というのと似た構図である。
それはともかく、デュシャンもお坊っちゃんであるが、大富豪のお嬢さんの先生でもあった。貧乏人の私から言えば対極の人たちであるが、そうであるから面白い。

マルセル・デュシャンと日本美術、いよいよ終幕に入る。

20年をかけた「遺作」のコーナーへ。

この壁面も面白い。
左と右の2点を。





ホワイトボックス。

このような。

この向こうの部屋でデュシャンの「遺作」の映像が流れている。本展、写真撮影は許されているが、ここだけは撮影は不可。

「芸術新潮」の2005年2月号は「謎の男 マルセル・デュシャン」という特集を組んでいる。
デュシャンの遺作についてもページを割いている。その写真と共に。
それを複写する。
ジオラマである。インスタレーションといえばインスタレーションである。草むらの中に全裸の女性が横たわっている。両足を広げて。
デュシャンは晩年の20年をかけてこれを創った。
毎日チェスをしている年寄り、という表面の顔の裏で。20年の間。
マルセル・デュシャン、たしかに「謎の男」ではある。

第2部である。
「マルセル・デュシャンと日本美術」の「日本美術」へ移る。

しかし、どうして日本美術なんだ。

400年前のレディメイドって・・・


伝千利休のこれ、無理があるよ。こじつけだよ。

また、これ。

本阿弥光悦のこれ。

言葉と文字云々としているが・・・

こじつけである。

この他、何だかんだデュシャンと日本美術を結びつけているが、まったくナンセンス。
今回のデュシャン展がフィラデルフィア美術館のアジア巡回パッケージ企画展であることの印象を薄めるために思いついた、としか思えない。
東博、禄でもないことをしている。
そもそものフィラデルフィア美術館の展示に戻りたくなった。

戻る。

ここを通り。

ここを通り。

ここへ。

そして、これ。

ここも。

≪泉≫の説明書きを若い女の子が読んでいる。

向こうに「大ガラス」が見える。

黄色いキャップの男の子が「大ガラス」と向きあっている。

デュシャン展、面白かった。
東博での通常の企画展、平成館の2階すべてを使っているが、今回の「マルセル・デュシャンと日本美術」はその半分のみ。小規模と言えば小規模。さらに、東博がつけ加えた「日本美術」を外すとさらに規模は小さい。
しかし、それでいいじゃないか、という思いが強い。
フィラデルフィア美術館によるアジア巡回のパッケージ企画でいいじゃないか、との。
後ろにとってつけた「日本美術」を除いては、とてもいい展覧会であった。


今日、保釈されるか、と言われていたカルロス・ゴーン、再逮捕された。
特別背任の疑い、とのこと。
欧米の輿論には、日本の刑事司法制度に対する疑念が多い。検察、ここまでやるからには、何としてもゴーンを立件しなければならないであろう。日本の面子をかけて。


トランプ政権で唯一トランプの暴走をとどめる、と言われると言われてきたマティス国防長官が、来年2月に辞任すると発表された。もうこれ以上トランプについていけない、ということのようだ。
マティスが去るとトランプ政権、イエスマンばかりになってしまう。困ったことだ。
いつも思うが、アメリカ人、ホントにこれでいいと思っているのか。


ホンダジェットの日本登録初納入が行われた。ホンダのビジネスジェットだ。
その値、日本円で6憶弱。そんなものか、安いじゃないか、と思う。
ホリエモンを含む何人かの実業家が共同で購入した。
何となしに愉快。


羽生善治、竜王戦で敗れた。
27年間保っていたタイトルをすべて失い、無冠となった。
羽生善治、48歳。ピークは過ぎたが、まだ巻き返すと言っている。
どうなるか。