マルセル・デュシャンと日本美術。

20世紀美術で最大のアーティストはパブロ・ピカソである。
キュビスム以前のマティスやルオーといったフォビスムの作家、モディリアニやシャガールといったエコール・ド・パリの仲間、ダリやマグリットといったシュルレアリスト、また、ダダイスト、ネオダダイスト、ポロック、デ・クーニングといったアクションペインティングの連中、ジム・ダイン、ジャスパー・ジョーンズ、ラウシェンバーグといったポップアートの作家、さらにはデュビュフェやフォートリエ、・・・、・・・、巨匠、巨人と言われる作家は幾らもいるが、ピカソの名の前では一歩引きさがる。
20世紀ただひとりということになると、パブロ・ピカソとなるのに異を唱える人はあるまい。
それと共に、仮にあとひとり、と問われた場合はどうであろうか。
マティスやルオーを持ってくるのも芸がない。デュビュフェやフォートリエといった向きもあるかもしれないが、それもピカソの前では今ひとつ。10年少し前、ロンドンのテート・モダーンではピカソとフランシス・ベーコンとを対比するような展示をしていた。たしかにベーコンは凄い作家であるが、それもテート・モダーンであるからでもであったろう。
そこで、20世紀を代表するアーティスト、ピカソとあとひとりという場合、それは案外マルセル・デュシャンではないか、と私はずっと思っている。
乃木坂の国立新美術館ができたのは2007年1月である。その開館記念展は、「20世紀美術探検 −アーティストたちの三つの冒険物語ー」というものであった。20世紀の美術をガガッーと見てみよう、というものであった。展覧会の図録の類い、今はまったく買わないが、その頃はまだ買っていた頃、探したら出てきた。20世紀の美術を一気に見てみようというものであるから図録も分厚く400ページもある。
序文を同美術館主任研究員の南雄介が書いている。その文中、<マルセル・デュシャンは、この展覧会でも最も重要な作家の一人である。展覧会の全体を通じて、デュシャンの影はそこここに認めることができる。・・・。・・・。・・・ミニマル・アートにおいても、デュシャンの影はつとに指摘されてきた>、と記しており、デュシャンの作品写真にも多くの紙数を割いている。ピカソやブラックよりもはるかに多く。
パリのポンピドゥー、ロンドンのテート・モダーン、それにニューヨークのMoMAが近現代美術館の御三家であり、デュシャンの作品も展示されているが、ニューヨークにはアメリカの近現代美術に特化したホイットニー美術館がある。25年ほど前、オノ・ヨーコも含むフルクサスの特集展示があり、それに関係するものということかデュシャンのコーナーもあった。
デュシャンの作品、何も小便器の「泉」や自転車の車輪がどうこうということばかりじゃなく、見て楽しいんだ。面白いんだ。
眠くなった。机の前で眠ってしまわない内に布団の中で寝よう。
後は、明日にする。