マラドーナとメッシ。


いよいよ強国アルゼンチンが登場した。
英国のブックメーカー、ウィリアム・ヒルのオッズでは、アルゼンチンの優勝賭け率7.5倍、スペイン、ブラジルに次いで3位である。こんなこと書くこともないのだが、敢えて記すと、日本のオッズは、401倍である。
私は、アルゼンチンのサッカーは、あまり好きではない。パスをクルクル回し華麗ではあるのだが、ブラジルのようなドスンとしたところがない、と思っているからだ。もっとも、日本のゲーム以外、4年に1度のワールドカップでの試合しか見てはいないが。その少ない経験から言えば。
しかし、今回は少し違う。アルゼンチンの監督がマラドーナだからだ。
神の手・マラドーナ、5人抜きのマラドーナ、アルゼンチンの英雄ではあるが、トリックスターのマラドーナでもある。ブクブクに太ったマラドーナ、薬物中毒のマラドーナ、その治療のためキューバへ渡ったマラドーナ、その折々マラドーナの動向は、世界へ発信され、遠く離れた日本でも目にしてきた。
グループB、アルゼンチン対ナイジェリア戦、日本でのその放映権は、フジテレビが取ったようだ。その映像からマラドーナの姿を引いた。

いつもジャージを着ていたマラドーナ、今日はスーツを着ていた。
マラドーナにとっては、ワールドカップの指揮をとる大事な初戦。吠える吠える。


アルゼンチンのエースナンバー10を背負うのは、リオネル・メッシ。
メッシ、23歳。若きエースストライカーだ。昨年度のFIFA年間最優秀選手であるメッシ、世界のエースナンバー10を付けてもおかしくない選手だ。


たしかにメッシ、ケタ違い、次元の違う選手である。鋭い動き、スピードで相手をかわし、ゴールポストを捉えたシュートを連発する。だがしかし、すべて阻まれ、ゴールはならなかった。

メッシへの当たりは強烈だ。倒される。時には、3〜4人に取り囲まれる。
メッシもマラドーナと同じく小柄、170センチしかない。マラドーナ、メッシに、現役時代の自分を重ね合わせているのだろう、と思える。



マラドーナ、交代の選手に指示を与える。
それにしても、ライヴ映像にこれはど出てくる監督はいない。アルゼンチンのゲームというより、マラドーナのゲームである。

ロスタイムは4分、スコアは1対0。

マラドーナの動き、さらに大きくなる。

動きも大きいが、その間叫んでもいたのだろう。

試合は終わった。アルゼンチン、1対0で勝つ。
マラドーナ、引きあげてくる選手一人一人に抱きついている。熱い男だ。
左にいるのは、メッシ。疲れた顔をしている。次元の違う選手ではあるが、ゴールを奪えなかった。
グループB、もう一試合は、韓国対ギリシャ。韓国が2対0で勝った。
特に、韓国の2点目、パク・チソンのシュートは凄かった。
さすがマンチェスター・ユナイテッドのレギュラーを張っているパク・チソン、相手ボールを取るや、2人を抜き去りゴールを決めた。マラドーナの5人抜きには及ばぬが、素晴らしい動き、シュートであった。おそらく韓国、一次リーグは突破するであろう。
日本にパク・チソンのような選手はいるか。残念ながらいない。だが、ブツカルよりない。