マンデラのワールドカップ。

FIFAワールドカップ2010の開催地が南アフリカに決まったのは、2004年、チューリッヒでのFIFA総会でのこと。
南アフリカ招致団の中には、時の大統領・ムベキ、元大統領・デクラークと共に、ネルソン・マンデラがいた。マンデラがいた、というよりは、マンデラが現職と元大統領を率いていたようなもの。そこでマンデラは、こう演説したという。
「私は、長く獄中にあった時、ラジオでワールドカップを聴いていた。楽しかった。希望であった。2010年のワールドカップは、アフリカで、ぜひとも南アフリカで開かせていただきたい」、と。
反アパルトヘイトの闘士、ネルソン・マンデラは、1962年、国家反逆罪で逮捕され、終身刑の判決を受ける。彼が、時の大統領・デクラークにより釈放されたのは1990年。マンデラは、30年近くの間、獄中にあった。
1991年、デクラークは、悪名高いアパルトヘイト関連法をすべて廃止する。1993年、南アフリカ最後の白人大統領となったデクラークは、マンデラと共にノーベル平和賞を受ける。
全人種参加選挙となった1994年の選挙で、マンデラは南アフリカの大統領に選ばれ、1999年引退する。
そのネルソン・マンデラの最後の南アフリカへの、アフリカへの思いがこもった仕事が、ワールドカップの南アフリカへの招致であった。
そのマンデラの思いが通じたワールドカップ、今日開幕した。
NHKの中継画面から切り取った。

南アフリカ最大の都市・ヨハネスブルクのサッカーシティー競技場。
今日の入場者は、84490人だったそうだ。

そのスタンド、きれいだ。アフリカの大地の色だ。

NHKの画面、ここで開幕セレモニーのVTRに切り替わった。
黄、緑、赤、青、黒、アフリカの色、アフリカの原色だ。

ブラックアフリカだな。中田英寿がNHKのコメンテーターとして出ていた。

大分ブレたが、きれいだ。美しい。

アフリカの色だ。

この映像など、どこか神秘的な感じがする。

大きなフンコロガシも出てきた。

フンコロガシ、前脚でサッカーボウルを蹴っている。

今の南アの大統領・ズマは、この大会はアフリカの大会だと挨拶した。アフリカに光をもたらした。映像に出てくる人、みな楽しそうであり、嬉しそうである。
だが、この開幕セレモニー、NHKは10分か15分程度しか流さなかった。それも、中継ではなく、VTRでしか。もっと流せ、いや、中継しろ、と思った。奇抜なところはない。しかし、美しかった。
私は、アフリカの色に魅入られた。夏と冬、2年に1回行われるオリンピックの開会セレモニーより引きこまれた。
こんなに素晴らしい開会セレモニー、NHKはどうして10分か15分しか流さないんだ。訝るというより、怒りを感じた。当然のことに、NHKのクルーは、ずべてを撮っている。改めてそれを放映してほしいものだ。

短いVTRの画面は、ライヴに切り替わった。こういう場面が映しだされた。
南アフリカののメニュー、と書いてある。スターターには、メキシコをペロリと食い、メインディッシュには、ウルグアイをいただき、デザートには、フランスを食べようか、ということが書いてある。
南アフリカのサポーター、気合いが入っている。

オープニングゲームが始まった。南アフリカ対メキシコ戦。
開始直後、メキシコが攻める。その内、南アフリカも反撃する。双方、ともかく攻める。シュートを次々に打つ。日本代表のゲームしか見ていない私には、驚きであった。これこそサッカーだ、と思った。
前半は、0対0.双方共に今一歩であった。
後半9分、南アフリカのチャバララが左足で強烈なシュートを放ち、南ア、先制する。

後半34分、メキシコのマルケスのゴールが決まる。
終了間際に、キーパーからの縦パス1本で、南アフリカがゴールか、と思ったところがあったが、ゴールポストにけられ、得点には至らなかった。
この試合、1対1の引き分けとなるが、とてもいいゲームであった。共に点を取ることに貪欲であった。シュートを数限りなく打っていた。シュートを打たない日本の代表チームにぜひ見てもらいたい、と思った。

引き分け、勝ち点1に終った試合後も、南アフリカのサポーターは嬉しそうであった。ブブゼラと呼ばれる笛をあちこちで吹いていた。

短時間ではあるが、開会式には姿を見せる、と言われていたネルソン・マンデラ、出てこなかった。マンデラのひ孫が、昨日の夜行われた前夜祭のコンサートの帰途、交通事故で死んだため。
しかし、南アフリカでのワールドカップ、マンデラ抜きでは始まらない。マンデラは、ビデオレターを寄せた、という。NHKの画面に流れたこの映像のマンデラ、おそらく90年代、大統領時代のものであろう。
ネルソン・マンデラ、来月7月には、92歳になる。