ソブリンリスク。

今日、ドイツとフランスは、財政問題でデフォルトの危機にある、ギリシャへの金融支援法案を可決した。
向う3年間で、ドイツは、224億ユーロ(2.6兆円)、フランスは、168億ユーロ(1.9兆円)。ギリシャのデフォルト回避のため、EUとIMFは、向う3年で、総額1100億ユーロ(12.8兆円)の金融支援を表明していたが、独仏、中でも国内世論に反対が多かったドイツが法案を可決したので、ひとつの山は越えた。
昨日、短時間で700ドルも下落したニューヨーク・ダウも、昨日、今日で、700円も下げた日経平均も、来週には値を戻すだろう、と言っている専門家が多い。しかし、はたしてそうか、疑問が残る。
ドイツもフランスも、ソブリンリスク、言ってみれば、貸し倒れのリスクは増えたんだから。ごく普通のドイツ人が、ギリシャに金を貸すのは嫌だ、と言っていたのも、貸し倒れになることを恐れてのことなんだろうから。オレたちが払った税金が、そんなことでパーになってしまうのは嫌だ、という気持ちはよく解かる。
しかし、今や、世界は一蓮托生。私は、そう思っている。だから、独仏両政府が、ギリシャへの支援法案を可決したのは、いいことだ。
ギリシャはまだ財政規模の小さい国、3年で13兆円弱、年に4兆円強の支援で、デフォルトは避けられるのであろう。しかし、それより財政規模の大きな国で、懸念される国が幾つもある。EU域内でも。
去年ぐらいから、PIIGSという言葉を目にするようになった。ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、の頭文字を繋げたものだ。今回は、ギリシャの財政問題が表面化したが、いつ何時、他の国の財政危機が表面化してもおかしくはない。EUやIMFばかりでなく、他の国も助けることが必要だ。
そんなことを考えていたら、日本はどうか、と思った。
国の借金、本年度末には1000兆円に迫る、と言われている。ギリシャや他の国とは、ケタが違う。借金大国である。これはどうした、と誰でもが思う。普天間の移設が大問題となっているが、1000兆円という債務を抱えた国のデフォルト云々ということは、あまり問題にはなってないな、と思った。
日本国民の個人金融資産が、1400兆円あることは知っている。国の借金総額より多い。いざとなったら、国は国民一人一人に頼ればいいと考えているのかな、とも思うが、そうとばかりでもない。
中国に抜かれたとはいえ、外貨保有高は、世界第2であり、それ以上に、国の対外債務が、少ない。つまり、他の国からあまり借金をしていないんだ、日本は。調べてみたら、日本の対外債務は、130〜140兆円。先進国の中では、低い。
対外債務の最も多い国はアメリカで、日本円にして約1100兆円。イギリスの対外債務は900兆円強、次いでフランス、ドイツが続く。4番目のドイツにしたって、日本の3倍の対外債務を抱えている。
普天間問題で揺れているが、国のデフォルト云々がさほど言われないのも、そこにあるのか、と思う。
一国の宰相が、3人の町長に謝っている、ということも、まだ国自体が追い詰められていないからだな、とも思う。日本は、ソブリンリスクの低い国なんだ。