パリ+リスボン街歩き(1) サルコジ危うし。

昨日、フランス大統領選の投票があった。今日、結果が出た。
当然のことながら、第一回目の投票では決着がつかず、来月6日の決選投票にもつれこんだ。予想通り、サルコジ危うし、である。
ヨーロッパ各国、財政問題深刻である。ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、次から次へ尾を引いている。今は、一旦は沈静化している、やに見える。しかし、マグマは生きている。
(ご承知の通り、日本も大変である。野田佳彦が命にかけても、と言っている増税策もそれがためである。これに対し、もの解かりの悪い連中は、何のかのと言っている。しかし、今は、日本の問題は措く。フランスの話に絞る)
フランス大統領・サルコジ、ドイツのメルケルとタッグを組み、何とかEU内での破綻を押さえてきた。「メルコジ」と揶揄されながら。経済力の強さから言って、子供の電車ごっこに例えれば、メルケルが運転手でサルコジが車掌であろう。でも、サルコジ、何とかこなしてきたんだ。
フランスという国を守っていくためには、財政を締めなければならない。緊縮財政策をとらなければならない。サルコジ、そう考えた。そうでなければ、破綻する、と。
国民には、苦い。失業率も10%に高止まっている。厳しい情勢である。そうでなくとも、サルコジ、どうも印象がよくない。移民の息子で成りあがった、ということもあろうか、成金趣味もある。あまり、いい印象を持たれてはいない。
緊縮策が必要だ、と言ったところで反発を食うようだ。野党第一党である社会党のオランド、そこをつく。高止まりしている失業率を改善すべきじゃないか。緊縮ばかりじゃ、雇用問題も解決しない、と。
どこの国であれ、その時の政権党が右であれ左であれ、財政緊縮策を掲げなければならない立場、とても厳しい。サルコジ自身が好きであれ嫌いであれ、彼の立場は、厳しい状況にある。
今日判明した第一回目の選挙結果に、それが現れている。
上位4人の得票率、このようであった。
オランド(社会党) 29%
サルコジ(現職)  27%
マリーヌ・ルペン(極右 国民戦線) 18%
メランション(左翼戦線)  11%
第五共和制になって以来、再選を目指す現職大統領が、第一回投票で2位になったのは初めてのこと、とのこと。サルコジ、ヤバイんだ。
今回のフランス大統領選、10人が立候補している。
サンジェルマン・デ・プレの近辺の広場に、その10人の顔写真がずらっと並んでいた。

左から二人目、2番が極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン。3番目はサルコジ。4番目は左翼戦線のメランション。右端、10番目が社会党のオランドである。

モンマルトルのサクレ・クールを少し下った所に、各候補の写真を貼った看板が立っていた。
これは、10番、社会党のオランドのもの。書いてあるのは、「今こそ」っていう意か。

この看板、右の3番はサルコジ、左の4番は左翼戦線のジャンリュック・メランション。

少し小さいが、左の2番は極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン。マリーヌ・ルペン、18%もの得票を集めた。フランス社会、閉塞感がある、と言える。
なお、右の男は、泡沫候補と言っては悪いが、得票率1%のフィリップ・プートー。

これ、左翼戦線のメランションのポスター。ボロボロになりながら貼りついているところがあった。
極右のマリーヌ・ルペンにしろ、左翼のメランションにしろ、そこそこの得票率を挙げているが、彼ら2人ともユーロ圏からの脱退を主張しているそうだ。ナショナリズム、右も左も縮み志向に向かう。合わせて3割の人たちがそれに同調しているということ、考えておかなければならないだろう。

8日夜のテレビであったろうか。「選択の時」ってことか。
 
この時には、オランドがさらに1ポイント加え54%となり、1%落したサルコジは46%となっている。
今日の結果も、それを反映しているようだ。
なお、テレビ画面下の方には、サルコジがオランドに対し2回のディベートをしようじゃないか、と申し入れたとあるが、今日の選挙結果の後では、サルコジは3回のディベートを、と言っているという。サルコジ、得意のディベートで逆転を、と考えている模様だが、おそらくそうはいくまい。