枯桜。

昨日の夕方、着信メールを見ていると、友だちからこんなメールが届いていた。
「仕事に飽きたんで、お前のブログを見ていたら、ケチをつけてみようかと」、とあり、「このところの木の写真、ちょっと平凡すぎないか。イチョウ、イチョウ、枯れたアジサイ、ツタ、単なる真竹、いつかのピラカンサなど、平凡すぎる木で、街路には腐るほどある。今日、あまり好かれない木だ。云々」、とある。
私は、人間ができているので、”オレの雑ブログも、仕事の骨休めの手助けぐらいにはなってるんだ。それに、さすが友だち、ありがたい。木の種類が平凡なことばかりでなく、言外には写真の腕ももう少し上げろよ、というアドバイスもくれて。いいことを言ってくれる”・・・・・と思うはずがなく、”クソッ、平凡な木ばかりで悪かったな、ヘタな写真で悪かった”、と思った。ハハハ、実は、人間が全くできていないんだ、私は。
それで、”よし、それなら、今日のブログにも何か木の写真をのせてやろう”、と思った。”また、こんな木かよ”、と言われることは承知の上で。人間ができてないな、たしかに。
夜、ブログを書くため、パソコンを開いた。何か木の写真を見つけて、と思いながら。
と、そこに、北野武が、コマンドゥール勲章を授与された、というニュースが出ていた。しかも、ポンピドゥーセンターで大回顧映画祭が3カ月間行われるとか、カルティエ財団の美術館で、半年にも及ぶ個展が開かれる、といったことも。ビックリした。
こりゃ木のことなんか書いてられない、後回しってことで、昨日は急遽、北野武がらみのことにした。
で、今日は、木のこと。
とは言っても、私の手許には、珍しい木の写真など何もない。見ていくと、ひと月ほど前の2月11日、建国記念の日に、靖国神社と千鳥ヶ淵戦没者墓苑に行った時の桜の木の写真があった。枝のみの桜。小雨の降る日だったから、余計に寒そうな桜だったが。
しかし、このところ、ずっと寒い日が続いている(今日の東京は、好天だったそうだが、千葉県は、ドンヨリとした空で、昨日ほどではなかったが寒かった)ので、まあ、よかろう。冬木の桜だ。

靖国神社の神門を入った右手の桜。後ろに見えているのは、拝殿。

ずいぶん年月を食ってるな、と思われる桜木も多い。

”く”の字に折れ曲がった枝ぶりは、やはり、冬木の桜。

奉納桜、仲間を弔う生還者による記念植樹が多いのも、やはり、靖国。

花の頃には、あれほど賑わう千鳥ヶ淵も、寒空の頃には、誰もいない。

千鳥ヶ淵の冬木の桜。左は、皇居。すぐ右手は、戦没者墓苑。
楠本憲吉選句・監修の『冬の草木譜』(光書房刊)から、数句拾ってみる。
     哀れさは殊に桜の冬木立     游刀
     恋無情蛇形に偃へる枯桜     富安風生
     星は月の前衛後衛枯桜      中村草田男