国と国民が甘やかしたのか?

私の友達には、冷静といえば冷静、少しひねくれてるといえばひねくれてる男が、何人かいる。
「世はオリンピックか」、なんて言って、山歩きに行ってる男もいれば、「オリンピックにはうんざり、『80日間世界一周』とか、『ドラキュラ』なんていう、他愛のないものを、原書で読んでます」、なんて手紙をよこす男もいる。
しかし、私は、さほど冷静でも、ひねくれてもいないので、オリンピックが面白く、毎日見ている。ハハ、単純といえばいえ、という感じだ。
今日は、カーリングだな。6点差をひっくり返し、ロシアに大逆転勝利した。よし、だ。その後のドイツには、惜しくも敗れた。ウーン、残念。自分でも、単純だとは思うが、それでいい。
小平奈緒が、スケート1500メートルで、1000メートルに続いて、5位になった。これは凄い。1000メートルでは、ビリだった中学生・高木美帆は、こんどは23位だった。これも凄い。なにしろ、36人中の23位なんだから。オリンピックに出てくる36人の中で、23番目なんだから。「次のソチでは、狙う」、と言っている。いいぞ。
奈緒ちゃんと美帆ちゃん、ファンなんだ。
実は昨日、ショートトラックで、韓国の選手が金を取ったので、また「朝鮮日報」の日本語サイトを見てみた。韓国のグローバル企業・サムスンが、「スピード・コリア」の名のもとに、資金援助をしている、という記事があった。サムスンの前会長が、1997年から、長期計画を立てさせ、援助を始めたそうだ。
その成果が、今大会、今日まで、金4つを含む、9つのメダルに繋がったのであろう。少し悔しいが、それはいい。実は、サムスンがらみで、こういう記事が、目についた。「朝鮮日報」の東京支局長の記事だ。
「トヨタ問題は、対岸の火事ではない」、という記事だ。
トヨタのリコール問題、さらに、アメリカ国内での受け止められ方、に関する報道は、各国、日本で思う以上に多い。金民培という「朝鮮日報」の東京支局長、こう言っている。
「問題は、技術的な側面にとどまらない」、「経営陣が、互いに批判し合うということを避ける、”仲良しクラブ”になっていたのではないか」、「さらに大きな問題は、トヨタに対する日本社会の過保護にある」、「政界もメディアも、トヨタに対し、きわめて寛大だ」、「過保護に安住すれば、内部から瓦解する」、と指摘している。
さらに、彼は、「こうした失敗は、韓国企業にも当てはまる」、とし、「トヨタのように、グローバル戦略を展開している、サムスン、現代、LG、にも同じようなことが言えないか」、と書いている。
後半の、サムスン以下韓国企業への言及は、ともかくとして、前半部分の指摘、鋭い。トヨタ問題は、一企業の問題ではない。
私たちは、トヨタが、GMやフォードを抜き、世界一の自動車企業となった時には、喜んだ。嬉しかった。おそらく、ホンダや日産、その他の自動車企業の関係者以外の日本人は、皆嬉しかった。トヨタの技術は、素晴らしい。トヨタは、世界一の自動車企業だ、と言って。一私企業であるトヨタは、日本の代表選手になったんだ。応援すべき選手に。
何日か前に書いたように、私でも、トヨタのボードメンバーは、うまく機能しているのか、という危惧は抱いている。トヨタの内部事情は、私などには解からない。しかし、そういう危惧を抱く、ということ自体、トヨタに対する過保護、と言えば言えるな、と思える。寛大と言われれば、そうであろう。
このところ毎日、どこかで目にする、アメリカ下院の監督・政府改革委員会の筆頭理事のアイサなど、トヨタ叩きの悪代官みたいに思えるもの、日本人には。しかし、冷静に考えれば、それが、トヨタに対する過保護、寛大さ、ということかもしれないな、とも思う。おそらく、そうなんだろう。アイサのクソ野郎、と思うこと自体が。
今日の夕刊には、2007年のリコールを低く抑え、90億円を節約したとのトヨタの内部文書が見つかった、との記事がある。アイサの手にある。公聴会で追及されるであろう、との記事が。
New York Timesのオンライン版を見てみたら、ビジネス面のトップ記事は、この記事だった。トヨタが、限定的なリコールの後、1億ドルをセイブした、との記事だった。
アクセルが、ブレーキが、という問題ではなくなった。トヨタの隠蔽体質、トヨタの汚さ、という問題になってきている。全米にテレビ中継もされる、米下院の公聴会、とても厳しいものになろう。
突拍子もないことと思われようが、私には、ワシントンの日本大使館のミスで、宣戦布告が遅れた、真珠湾攻撃を思わせる。そして、明後日、24日が、東京裁判であるような。
トヨタは、日本の代表選手。「朝鮮日報」の東京支局長の指摘のように、国も国民もトヨタに対し、過保護であり、寛大であったであろう。
しかし、やはり、トヨタには、この逆境、はねかえしてもらいたい。