忙しい一日。

忙しい日だった。
浅田真央は、完璧な滑りをした。トリプルアクセルも成功した。少なくとも、ここ2年ほどの浅田の滑りでは、最も素晴らしい滑りではなかったか。もちろん、浅田の試合、すべてを見ているワケではないが。私が、見た試合の中では、一番の滑りだと思った。
しかし、浅田のすぐ後にリンクに立った、キム・ヨナの滑りは、より完璧だった。少しのミスもない。78.50、SP(ショートプログラム)の得点としては、世界歴代最高点を出した。これじゃ敵わない。脱帽だ。
2日後のフリーで、浅田は、彼女だけにしか跳べないトリプルアクセルを、2回跳ぶようだが、かりにそれが成功しても、キム・ヨナのトリプル、トリプルの連続ジャンプより得点は、下回るそうだ。女子にとってのトリプルアクセル(3回転半)は、男子の4回転に相当する。リスクの高い高難度の技。しかし、今の採点基準では、3回転の連続技の方が、高い得点になるという。
何か、今ひとつ、釈然としないが、先日の、ライサチェクとプルシェンコの勝負同様、そういうことのようだ。今日の浅田の演技は、先日のプルシェンコの演技に較べれば、はるかに完成されているのだが。しかし、フリーで、キム・ヨナに逆転するためには、3回転半を2回、確実に成功させることが、不可欠だ。
今日のキム・ヨナのできから見て、キムがミスをするとは思えず、浅田の逆転は、難しいだろうが、リスクを賭けても、やるしかない。もし、ミスが出た場合には、3位につけたジョアニー・ロシェットにも、引っくり返されるかもしれないが、それは、しかたない。トップを狙うには、チャレンジが必要だ。
安藤美姫は、好不調の波があるから、今日は、不調の日だったんだろう。好調ならば、ひょっとして、と思っていたが、メダルからは、遠のいた。鈴木明子は、手はついたが、実力通りの滑りをしたのではなかろうか。
キム・ヨナと浅田真央、二強の対決。最高レベルの、二強対決に思えた。キム・ヨナの方が、一枚上だが。
夜、新宿へ出、古い友達5人と飲んだ。
皆、私ほどにはオリンピックに入れ挙げてはいないが、やはり、キム・ヨナの方が上だと言う。お酒を運んできた飲屋のおねえさんに聞いても、やはり、キム・ヨナでしょう、と言う。
私も、そう思うし、おそらく、今日の昼、2人の滑りを見ていた日本人の多くは、残念ではあるが、キム・ヨナには、かなわないな、と思っているんじゃなかろうか。
帰り道、夕刊を何紙か買った。各紙トップは、豊田章男が呼び出された、今日のアメリカ下院でのトヨタの公聴会関連。各紙、オリンピックがらみも、一面に載っているが、さすがというか、何というか、日経の一面には、オリンピックがらみはなかったな。
帰宅後、その公聴会、いつ始まるのかな、と思い、New York Times の電子版を見たら、こういう写真が載っていた。
やや緊張した面持ちで、議会に入るトヨタの社長・豊田章男。その右の男が、トヨタ追求の急先鋒、下院監督・政府改革委員会の筆頭理事、共和党のダレル・アイサだ。
N.Y.Timesを見ていくと、世界経済面に、今の状況とリンクしているところがあった。クリックすると、ライブで議会内、公聴会の映像が、NBCの映像が流れている。ワシントン時間 11時(日本時間 1時)に始まったばかりである。
議長は、髪をやけに短く刈りあげた、赤い服を着た女性が務めている。まず初めは、運輸長官のラフードに対する質疑が続いている。議会からすれば、トヨタのリコール問題、政府が見逃していたんじゃないか、という点もあるので、これも厳しいものだろう。豊田章男に対する質疑は、この後のようだ。
カメラマンなどは、床に座っている。次々に議員がラフードに質問を浴びせる。同時通訳でもあればいいのにな、と思うが、もちろんそんなものなどあるワケはない。アメリカ国内へ流しているライブ映像なんだから。それでも、見ていると面白い。まさに、芝居を観ているようなもの。
昨日の北米トヨタ社長への公聴会は、休憩をはさみ、8時間に及んだという。トヨタ本社のCEOであり社長である豊田章男に対する公聴会は、おそらく、10時間くらい続くんではないか。見ていてとても面白いが、そんなに長く付き合うワケにもいかないので、いい加減で、やめた。
しかし、このライブとは別に、トヨタのリコール問題、豊田章男の公聴会出席がらみで、18もの映像とリンクされている。トヨタ問題のビデオ映像が、常時、18も流されているのには、驚いた。
トヨタのトラブル、トヨタへのヒアリング、トヨタクラッシュの被害者、なんてものが、これでもか、といわんばかりに出てくる。中には、インタビューを受けたアイサが、「トヨタの欠陥車は、37人の死に結びついている」、なんて話しているものもある。
おそらく、豊田章男の登場は、あと何時間か後になるのだろうが、大変だ。心配だ。
浅田真央にしろ、豊田章男にしろ、誰に頼まれたワケではない、自分勝手に見ているだけだが、今日は、一日中忙しかった。