挑む。

フィギュアの高橋大輔、やったな。立派な銅メダルだ。
着氷に失敗はしたが、4回転に挑んだ。4回転を回避しても、3位には入ったであろう。しかし、それでは、金が取れないことは、解かっている。アスリートとして、悔いを残さないためには、チャレンジすべきだ。ましてや、4回転ジャンプが、現在の最高難度の技となっている状況では、それに挑まずして、どうなろう、との思いがあったろう。
織田信成と小塚崇彦も、頑張った。織田の靴ひもが切れたのには、驚いたが。織田が、4回転を跳ばなかったのは、今日の練習で一度も成功しなかったので、まだその力がないと思い、止めた、とのことのようだ。それはそれで、いい。最後まで、よくやった。
小塚は、4回転を初めて成功させた。これは凄い。次回、ソチでの小塚、楽しみだ。
トリノの金メダリスト、ロシアのプルシェンコは、2連覇を狙ったが、成らなかった。4回転は跳んだが、1回だけ。これで十分、だと思ったのだろうが、あとの滑りもキレがなく、僅差で敗れた。当然だと思う。
たしかに、他の選手に較べ、格段に存在感があり、4回転も確実に跳べる。だが、トリノ以来、3シーズンも競技から離れ、オリンピック・シーズンに復帰、それで勝てるなんて、少し、競技を甘く見ている。
金を取った、アメリカのライサチェクは、まったくミスをしない滑りをした。きれいに滑った。文句をつけようのない、きれいな滑りをした。しかし、それがどうした、という思いが残る。今、トップ・スケーターなら、これを跳ばなきゃという、4回転を跳ばないんだから。いかにリスクを避け、金を取るため、とはいえ、オリンピック・チャンピオンを競う大会なんだから。
今回、初めて気が付いたが、3回転や3回転半のジャンプと、4回転ジャンプとは、その難しさ、ものすごく違う。たかが、1回転、半回転、とはいえぬ、大きな差がある。4回転ジャンプは、ハイリスク、ハイリターン。トップ選手でも、プルシェンコを除けば、その成功確率は、5〜6割であろう。
しかし、そのリスクを賭けて、最高難度の技を競うというのが、オリンピックであろう。また、その最高難度の技に挑んで、それを成功させ、他の選手を圧する、という選手こそ、真のオリンピック・チャンピオンではないか。
ましてや、ライサチェクは、アメリカの選手だ。チャレンジしないで、何がアメリカの選手か、と言いたい。
昨日のスノボ・ハーフパイプのショーン・ホワイトを見習え、と言いたい。ホワイトは、ライバルたちが、ダブルコークをやってくると、自らは、ダブルコークを2度入れ、さらに、高難度の大技、ダブルマックツィストをも入れてきた。これが、アメリカの選手なんだがな、通常は。リスキーな大技を見せつけるのが。
失敗はしたが、4回転に挑んだ高橋の方が、凄い。
トヨタの社長・豊田章男が、24日に予定されている、アメリカ下院の公聴会への出席を、やっと表明した。遅い。
一昨日には、まだ、米国子会社の社長が出て、自分は、バックアップをなんて言っていた。それで、済むと思っていたトヨタの危機管理体制を心配する。昨年就任した、創業家出身の豊田章男もそうだが、それを補佐するボードメンバーの連中は、何をやってるんだ、と思う。まさか、創業家のお坊ちゃまだから、大事に、なんて考えているんじゃなかろうが。
欠陥隠し、対応遅れ、などでの制裁処置が、取られようとしているのに。その制裁金は、15億ばかりで、トヨタにとっては、大した額ではないが、一般の集団訴訟が、既に、36億ドル(3300億円)に達しているのに。
それより何より、運輸長官・ラフードのトヨタに対する、強硬な発言があり、さらに、強硬な、下院監督・政府改革委員会の筆頭理事・アイサの度重なる発言がある。アイサは、共和党の議員である。トヨタを叩くと共に、この秋の中間選挙をにらみ、民主党政府をも攻めているんだ。
政府側も、トヨタに対し、強硬にならざるを得ない。アメリカ国内で、トヨタ叩きが、共鳴している。トヨタに甘いのは、トヨタの工場がある州の知事ぐらい。トヨタの経営陣、このことが、解からないはずがない。だが、対応、遅かった。
何より、アメリカという国は、何事によらず、挑むことを好み、逃げることを嫌う。だから、私は、フィギュアの金メダリスト・ライサチェクが、アメリカ人だということが、不思議なのだ。が、それは、ともかく。
今日、豊田章男は、こう言っている。「安全性と、お客さまに対する思い、云々」、と。それは、当然だ。だが、その前に、筆頭理事のアイサはじめ、手ぐすね引いて待ちかまえている、アメリカの議員連中に、こう言ってやれ。
「トヨタは、逃げも隠れもしない。隠しもしない。事実があれば、即、対応する。私が、トヨタの責任者だ。何でも聞いてくれ」、と。
豊田章男、アメリカ議会に、アメリカ社会に、挑んでくれ。