「日本遺産」補遺(15) (ウォシュレット)。

昨日は、少し脱線し、ピート・ハミルが如何にモテた男であったか、なんてことに拘わっている内に、マサチューセッツの上院補選で、民主党が負けた、なんてニュースまであり、ストランドがらみのことで、コロッと忘れたことがあった。
ひとつは、ストランド(これも、忘れたが、正式名称は、ストランド・ブック・ストアという)と対極の本屋である、バーンズ アンド ノーブル(古本屋ではないが、バーゲン本も多い)のこと。そして、あとひとつは、一人の人間が、ひと時に、私が今まで見た中では、最も大量に本を買っているのを見たのが、ストランドだったこと、とその男について。
しかし、これらについては、また、機会があれば、触れることにする。「日本遺産」の補遺も長くなったし、ヘタをすると、初場所も終わってしまうので。最後に、やはり、これを挙げている人がいたのか、というものについて。
山口晃(画家)が、「日本遺産」に、<ウォシュレット>を推している。
山口は、<皆がゆずり合って、取りこぼす様な事があってはいけないので、重複を承知で申し上げますが、あれを見るにつけ「産みの親より育ての親」の感を強くし、特許概念の根本的な誤謬を思わずにはいられません>、と書いている。<アメリカ生れの日本のこころ>、とも。
<ウォシュレット>は、日本で発明されたものだと思っていたのだが、元々は、アメリカの発明品らしい。調べてみると、たしかに、そう。60年代、アメリカの製品をTOTOが輸入していたのだが、それは、使い勝手がよくないものだったらしく、あまり売れなかったそうだ。それを、TOTOが改良に改良を重ね、1980年、今の形の基本形を売りだしたらしい。
元の形、アイデアは、アメリカでも、それを素晴らしい製品に造りあげる、これは、日本の得意技。車も電気製品の多くも、そうであろう。ウォシュレットも、それにあたるようだ。しかし、ウォシュレットは、改良という言葉を越えた、新しい製品の創造、といえるものだと思う。
NHK・BSの深夜番組に、「クール・ジャパン」というものがある。鴻上尚史とリサ・スティッグマイヤーが司会し、いつも7〜8人の外国人が出てくる。その人選もなかなかよい。欧米人に偏ることなく、アフリカの人も、南米の人も、アジアも中国とか韓国ばかりでなく、インドネシアやタイの人、ユダヤ人も時々出ている。彼らが、日本語と英語、入り混じり、毎週、日本のクール、つまり、カッコイイものを討議するんだ。
私は、たまにこの番組を見ている。先日見たら、「クール・ジャパン100回記念」ということで、今まで取りあげた中で、最もクールなもの、クール・ジャパンの第1位に、ウォシュレットを選んでいた。伝統行事や、先端技術を使った工業製品や、その他諸々の、日本といえば挙げられるさまざまのものを抑えて。外国人にとっても、日本で1番クールなものは、ウォシュレットなんだ。彼ら外国の人、日本へ来て、初めてウォシュレットを使った時には、ビックリしたと思う。
実は、私は、ずいぶん以前から、日本の発明品(どうも、純然たる発明品ではないようであるが)の中で、ダントツの1位は、ウォシュレットだと思っている。
だから、山口晃が、「日本遺産」に<ウォシュレット>を推しているのを見た時、やはり、と思い、ひょっとしたらまだ他にもいるんじゃないか、と探したが、いなかった。山口が書いているように、<皆がゆずりあって>、かどうかは、解からないが。
しかし、私は、車や、テレビや、新幹線や、ロボットや、ロケットをも含めても、日本で生み出された工業製品の中で、ウォシュレットがダントツ。これこそ、世界に誇るべき、とズッと思っている。笑う人もいるかもしれないが。何年か前、人と話をしていてそう言ったら、笑われたので、世間の多くの人は、そうは思ってはいないらしいが。
携帯用のウォシュレットもある。尾籠な話で恐縮だが、3年前、たまにHISなんかのパック旅行に行く時には一緒に行っている、気の置けない友人と、モロッコ旅行を申し込んだ。ところが、申し込んだ後、痔になった。困った。だが、大したものでもないので行った。
ボラギノールや、尻の下に敷く空気で膨らます座布団(添乗員の女性からは、笑われたな。そんなものを持って来た人は初めてだと言って)と共に、携帯ウォシュレットも持っていった。それまで知らなかったのだが、秋葉原に買いに行った。電池で、水が噴出するようになっている。家で一応予行演習をしたが、いや、難しい。使い辛い。
携帯用とはいえ、重さもかなりある。それでも、一応持って行った。だが、一度も使わなかった。思いのほか症状が軽かったこともあるが、ホテルのシャワーの方がズッと楽。携帯ウォシュレットは、まだまだ改良の余地、多分にありだ。TOTOよ、人類の為、さらなる研究、研鑽を積んでくれ。
今日のブログ、ヘンな話題で申しわけなし。でも、「日本遺産」にこんなものを挙げる人がいるということ、そして、解かる解かる、という私のような人間も多いんじゃないかと思い、今日の「日本遺産」補遺とした。