流行語大賞。

晴れ。
毎年恒例の新語・流行語大賞、今年の大賞には、「政権交代」が選ばれた。
たしかに、今年最も多く使われた言葉かもしれないが、新語・流行語というには、少し違和感がある。当たり前すぎる感じで。
一体どのようなヤツが選んでいるんだ、と思ったら、どうも、藤本義一、やくみつる、俵万智、それに、「現代用語の基礎知識」の編集長が、最終選考をしているらしい。なんだ、皆、言葉には、鋭い感覚を持っている人じゃないか。それにしては、まともすぎて、平凡。
言葉は、平凡だが、「政権交代」という言葉の中身は、大変だ。政権交代はしたが、今年度の税収は、当初予測の46兆を大きく下回り、37兆しかない。国債発行も50兆を超えざるを得ない、という。初めて知ったが、国債の発行額が税収を上回るのは、昭和21年以来、63年ぶりとなるらしい。
なにしろ、現状は、デフレ、円高、株安、のスパイラル状なんだから。
今日午後、日銀は、急遽、金融政策決定会合を行い、10兆円規模の資金供給オペレーションを打ち出した。超低金利の今、市場への資金供給をもっと増やし、デフレに対応しようというもの。さらなる金融緩和策だ。
午後の対ドル為替レートは、87円台半ばまで円安に振れた。日経平均株価の終値も、前日比226円強上昇、9500円台を回復した。昨日も、300円ほど上げていたので、9000円割れか、と言われていた先週末からは、500円ほど戻したことになる。
しかし、日銀総裁の白川が、会合後、記者会見で決定内容を発表すると、円相場は、とたんに86円台と円高に振れた。日銀の量的緩和策、デフレと円高対策としては、さほどの効果はない、と市場は見たんだ。十分じゃない、と見た。
だが、先ほど開いたニューヨークの証券市場は、大きく上げて始まっている。ドバイ・ショックも一旦収まり、日銀の緩和策も幾分かは評価、ということかもしれない。円ドル相場は、86円台であるが。
それにしても、円ドル相場、春には、1ドル100円であった。2〜3カ月前には、90円台半ばであった。それが、このところ90円を切り80円台になり、一時は85円を切った。
円高、必ずしも悪いことではない、と言う経済の専門家は、案外多い。が、やはり、そうは思えない。輸出頼み、という面は、大きいだろう、日本は。内需、内需と言っても、今の日本、あまり物は売れないんだもの。安いものしか。だから、デフレなんだから。
この間、銀行の人と話していたら、ユニクロが、1000円を切るジーンズなんかを売って、あれほど収益を上げているのも、為替レートの問題だ、と言っていた。たしかに、そうだと思う。為替相場、何とかならないと、景気の回復なんかないだろう。
デフレの問題も、円高の問題も、株安の問題も、すべて、為替レートにある、と私は思っている。
この3カ月ほどの株価、日経平均とニューヨーク・ダウを較べても、日経平均が、10500円前後から今日戻しても9500円、一方、ニューヨーク・ダウは、9500ドルから今、30分ほど前では、10500ドル前後で推移。X字のように、なっている。この期間の為替レートによってであること、一目瞭然である。
鳩山や藤井は、日銀の今日の策に、評価する、と言っているようだが、彼ら今の政権の面々、本当に経済のことが解かっているのか、と私は訝っている。旧大蔵省出身の藤井も含め。デフレからの脱却など、おいそれとは、いくまい。
政権交代はしたが、金は入ってこないは、出る金は多いは、倹約しようと思って仕分けはした(それにしても、先日の科学技術予算削減に抗議する、ノーベル賞受賞者がズラッと並んだ会見は、壮観だったな)が、そんなものじゃとても追いつかないはで、国の舵取り大変だ。
政権交代とは、そういうことなんだ。流行語大賞には、選ばれても。
それにしても、流行語大賞では、4年前、2005年の大賞が良かった。この年は、大賞には、二つ選ばれた。
郵政民営化を問う、ということだけの衆院選で、自民圧勝の年だ。「小泉劇場」、だった。刺客とか、くのいち候補という言葉も飛び交っていた。
あとひとつは、ライブドアのホリエモンの言葉、「想定内」、だった。ホリエモンも、今どうしてるか。懐かしいな。
それにしても、「小泉劇場」の小泉純一郎も、「想定内」のホリエモン・堀江貴文も、その善悪、好き嫌いは、別にしても、キャラが立っていた。両人共、陽性で、オッチョコチョイなところもあり、時代が生んだ男、という印象があった。鳩山にはないものだった。
大賞を取った言葉も、「政権交代」なんていう平凡な言葉に較べ、「小泉劇場」にしろ、「想定内」にしろ、どこか、深みというか、趣のある言葉に感じられる。私には。