単独介入。

驚いた。今日午前中に、政府・日銀は、外国為替市場への単独介入に踏み切った。
昨日、菅直人が勝った後、一段の円高ドル安へ振れたのを見て、「案の定、・・・・・厳しくなる」、とのことを書いた。菅直人じゃ、効果の疑わしい単独介入に踏み切ることはあるまい、と思った故。
しかし、円/ドル、82円台に上昇するに及び、単独での介入に踏みこんだ。先月末ごろ、経済団体首脳と会い、続投支援(消極的なものであったが)を取りつけた時にも、大分泣きを入れられていたので、ここで踏み切らなければ、能無しと見られる、と思ったのであろう。
円/ドル、95円台まで2円強戻した。日経平均も9500円台まで戻した。戻したと言っても、1万円を切っている。1万どころか、1万2〜3千円になっても、戻った、と考えない人は多くいる。
それはともかくとして、その後のロンドン、ニューヨーク市場でも単独介入は行っているようだ。ニューヨークでは今、85円台後半で取引されている。踏み切ったからには、腹を据えてかからねばならないだろう。
今の世界の経済情勢、協調介入は不可能。アメリカもヨーロッパも、円高のトレンド、助けてはくれない。むしろ逆。自国通貨安に引っぱっていっている。日本には、単独介入以外、手はない。米欧には、少なくともネガティヴなアナウンスだけは控えてくれ、と頼んだようだ。どこまで約束を守り、義理だてしてくれるかは不明だが。
6年半ぶりの市場介入、と言われているが、その時には、それ以前1年数か月の間に、35兆円の円売り介入を行っている。今日、ロンドンやニューヨークで、どれほどの円を売っているのかは不明だが、今日の東京での円売りドル買いは、1兆5千億円だったそうだ。6年半前に較べ、現在の世界の為替市場の取引規模は、1.7倍になっている、という。300兆円だそうだ。
どこまで介入するのか。いつまで介入するのか。いや、日本一国でどこまでやれるのか、成功するのか否か、ギャンブルだ。
為替介入も戦争と同じ、始めたら、何時どのように終せるのか、出口戦略が大切。どこまで、いつまで、という出口戦略が。菅直人と日銀、どこまで考えているか。やみくもにイラクに攻めこんだブッシュと同じじゃ困る。
今日半日の動きだけを見れば、円安に振れ、日経平均も上昇し、プラスに働いているように思える。しかし、限度のある単独介入、場合によっては、日本国、莫大な為替差損を被る。
昨日、代表選に勝ち、続投が決まった菅直人、そういう状況にもなったが、まさか一夜明けてすぐ、こういう手を打つとは思わなかった。なめんなよオレを、という意思表明だろうか。日本国民に対しても、対外的にも。
単独介入、上手く運ぶ確率、低いと思うが。
しかし、やるより手はない、とは言える。複雑。