素朴な疑問。

晴れ。
簡単なことが、よく解からないことがある。
朝日夕刊トップに、国連での核軍縮決議170カ国賛成、国連総会委、最多、とある。
日本主導の核廃絶を目指す決議案、昨年まで8年連続で反対してきたアメリカも初めて共同提案国になった。プラハのオバマからいって、当然だ。それ故であろう、賛成票を投じた国が、過去最多となった、という。そうか。
反対2、棄権8カ国。そうか。
反対は、北朝鮮とイランか、と思ったが、違った。北朝鮮は、そうだが、もう一カ国は、インドだった。インドか。インドには、ブッシュが核兵器保有のお墨付きを与えたが、世界の大勢に逆らってまで、まだ何か、と思ったら、どうも、NPT(核不拡散条約)が引っかかっているらしい。
NPTは、米ロ英仏中の5カ国と他の国との間に一線のある条約である。今まで、190カ国が締約しているが、インド、パキスタン、それに、イスラエル、いずれも核保有国であるこの3カ国だけが、締約していない。
NPTは、不平等条約、かたくなに、インドは、そう思いこんでるな。インドは、地域大国と言われているが、なかなかどうして、どうも世界大国になることを考えているふしがある。中国のことが頭にあるんだ。インドと中国には、たまたまではあるが同数、それぞれ6回ずつ行ったことがある。この二つの国、とてもよく似てるんだ。
この両国、私は、思い入れがあるからこそ、何度も行っているのだが、正直言って、付き合いづらい人が多い。もちろん、いい人もいっぱいいるが。ひ弱な人間が多い日本から見れば、驚くほど気位が高い人がいる。日本人から見れば、ヘェー、と思ってしまうような人がいる。ごく其処らへんの人の中にも。
それはともかく、中国が世界大国となりつつあるのだから、インドも、という思いは強い。だから、NPTなど、認めないんだ。だから当然、今回の決議にも反対するのも、当然といえば当然か。
棄権は、ブッシュお墨付きのパキスタンと世界暗黙の了解国・イスラエル、それに、イラン、フランス、中国。新聞には、棄権8カ国と出ているが、あと3カ国の名は出ていない。あの暴れん坊・チャベスのベネズエラか、キューバか、ひょっとして北朝鮮と闇取引のあるミャンマーあたりか、あるいは、名も知らぬアフリカの小国か、と考えるが思いつかない。
まあ、それはいいとして、足し算をする。と、アレッ、数が少し合わないじゃないか。国連の加盟国、もうちょっとあったんじゃないかな。170と、2と、8を、足し算すると180となる。国連の加盟国は、今、192ある。今度は引き算をする。192−180は、12となる。
この12カ国は、いったいどうしたんだ、という素朴な疑問を覚える。欠席してるんだ。この決議案には参加したくないから欠席、という国もあったのかも知れない。夏休みの宿題ができていないから、二学期のの初めの日には、頭痛か腹痛で欠席、ということをやった人は多かろう。私もやった。それと同じように。
でも、そればかりじゃないんじゃないか、とも思う。国連大使が、常駐していない国があるんじゃないか。大使館が狭く、碌な宿泊場所もなく、かと言って、ニューヨークのホテルの値段は高いので、自国に関係のある問題の時だけ、大使がニューヨークに来る、なんて国もあるんじゃないか、ひょっとして、とも思った。
荒唐無稽といえば荒唐無稽。だが、世界は広い。そういうことも、ないとは言えない。素朴な疑問だ。
小学校の1年生か2年生でも解かる、足し算、引き算の簡単な算数から、そんな素朴なことを考えた。