主従二人(尾花沢)。

雨、夕刻あがる。
4〜5日ご無沙汰したが、芭蕉と曾良の主従二人は、320年前のこの日、尾花沢にいる。
7月2日(旧暦5月16日)は、堺田で雨に降り籠められていたが、翌3日(旧暦5月17日)、堺田を発ち、尾花沢に到る。
堺田で泊めてもらった封人(関所役人)のアドバイス、つまり、<あるじの云、是より出羽の国に、大山を隔て、道さだかならざれば、道しるべの人を頼て越べきよしを申>(芭蕉『おくのほそ道』)で、屈強な若者二人の道案内兼ボディーガードに支えられ、<高山森々として一鳥声きかず、木の下闇茂りあひて、夜行がごとし>(『細道』) という厳しく薄暗い山道を乗り越え、尾花沢の江戸で旧知の清風宅に着く。「宅」ではなく、「邸」だろうな。実際は。なにしろ、この清風なる男、紅花問屋を営む豪商なんだから。
そのままずっと、二人は尾花沢にいる。つまり、清風の世話になっているのだと思う。