秋場所千秋楽。

両横綱がいない、大本命と思われていた朝乃山が何と初日から3連敗、大混戦だなこりゃ、という場所であった。
序盤で「団子7兄弟」と記した。
その中で、今年2度も惜しいところで優勝を逃がしていた正代が賜杯を手にした。
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千秋楽取組み前、優勝を争うのはこの3力士。
一人2敗の正代、今日の相手は翔猿。
新入幕で幕尻の翔猿、昨日は貴景勝、今日は正代という割りである。本人は楽しいと言っているが、如何に何でもこれはきついよ。
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正代の昨日の一番。朝乃山を押し倒した。
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朝乃山は土俵下まで吹っ飛んだ。
この一番での正代、協会審判部の親方衆の心証を良くしたであろう。こりゃ大関だ、と。
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正代、今日の場所入り。
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背中に大きく「正代」と染め抜かれている。こういう姿も相撲取りならでは。
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幕尻の新入幕力士に負けるわけにはいかないものね。正代、初優勝。
ところが、実は、正代は翔猿相手に危なっかしい相撲を取った。立ち合い押しこまれて土俵際まで後退した。その後もヒヤリとする場面があった。
優勝インタビューで正代はこう語っている。「今までの相撲人生で一番緊張した」と。負けるワケはないとは思いながらも、ガチガチに硬くなっていたんだ。そうだろうな。
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琴奨菊、昨日まで2勝9敗3休。今日も敗れた。
前頭11枚目だから、来場所は幕に留まることはできない。十両へ落ちる。どうする琴奨菊。
稀勢・奨菊として数多くの熱闘を繰りひろげてきた稀勢の里は、昨年の1月場所で引退した。今年1月場所ではやはり大関を張っていた豪栄道が引退した。
36歳の琴奨菊、ここらで土俵人生の幕を引くのがいいんじゃないか。そう思う。
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今日、花道を下がる琴奨菊。
これが現役最後の姿であろう。
世代交代は確実に進んでいる。
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朝青龍の甥っ子の豊昇龍、12日目まで5勝7敗であったが、最終盤の3日勝ち、8勝7敗と勝ち越した。
朝青龍ほどの猛々しさはまだないが、足腰はいい。粘っこい。
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昨日の豊昇龍、輝に土俵際に追いつめられながら、掛け投げで輝をひっくり返した。身体はまだ小さいが、まだ大きくなる余地はある。来年の今ごろは三役を狙っているのではなかろうか。
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1年ほど前、豊昇龍と並び注目を集めていたのは大鵬の孫の納谷。
今場所、幕下4枚目で5勝2敗をあげた。来場所はどうやら十両へ上がることができそうだ。若い芽は出てきている。
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今場所の星取。
琴奨菊は前述の通りだが、高安は三役復帰、さらに大関復帰も可能であろう。
しかし、栃ノ心はもう無理だし、妙義龍や玉鷲もピークは越えた。
今場所は大きく負け越したが大栄翔、それに霧馬山、隆の勝、琴勝峰などが力をつけてきている。
来場所も二人の横綱は出場しないかもしれない。が、来年の初場所には出てくるだろう。が、白鵬も鶴竜も35歳。出てきたらそこそこの星をあげるのであろうが、それもそう長続きはしない。両横綱とも来年中には引退するであろう。
そうなれば、今の番付けがそのままひとつ繰りあがるようなもの。
朝乃山と貴景勝が横綱で、正代とひょっとしたら隆の勝あたりが大関ということもあり得ないことではない。
ひとり忘れているのではないが、一体全体どういうことなんだという力士がいる。
御嶽海である。私の贔屓力士の御嶽海である。
優勝2回、大関レースの先頭を走っていた御嶽海、今場所の成績は8勝7敗。今日の霧馬山との一番も、やけにあっさりと負けていた。気合が入っていない。
大関レース、後ろから来た貴景勝に抜かれ、朝乃山にも抜かれ、さらに来場所大関となる正代にも抜かれた御嶽海、その心中ズタズタになっているのであろう。
この様子だと、その内隆の勝あたりにも抜かれるかもしれない。
相撲というもの、力自慢の身体のデカい男の勝負であるが、それ故にこそメンタルな側面が多分にある。今場所の御嶽海を見ていて、その思い強くした。
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理事長・八角から賜杯を受け取る正代の画像で今場所は終わる。


竹内結子が死んだ。40歳。
よく知られた女優である。自死だそう。暫らく前にも女優が自死している。
自死ってことを考える、というより思う。
「あっ、あいつだ」と思った三浦春馬の自死は、酔っぱらったあげくの突発的な自死であったであろう。
先般の藤木孝の自死は、80となった老いに向きあった故のものであったろう。同世代の私、よく解かる。
竹内結子や先般の女優の自死は、死への誘惑が甘美、とても美しいものに見えたのであろう。
それもこの世の戯れだ。