やったー、ポン・ジュノ。

いやー不思議な映画だな、何と言うか凄い感じがするな、ただ者じゃないなこの監督は、この映画を見ている間中何か特別なものを見ていることを感じていた。
初めは格差問題をついた作品だな、それにしても韓国の格差社会ちょっと露悪に過ぎるんじゃないか、と思っていた。半分地下の家に住んでるなんて、と。父親、母親、それに浪人中の息子と娘。皆失業中、定職がない。内職で食いつないでいる模様。
対極の一家は高台の豪邸に住むIT企業の経営者。こちらも夫婦と高校生の娘と小学生と思われる息子の4人家族。
半地下の家族はキム家。高台の豪邸の家族はパク家。
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ひょっとしてと思っていたが、こりゃやるぞ、取るぞ、と思うようになっていった。
今年のアカデミー賞授賞式、今日、ロスのドルビー・シアターで催された。
今年のアカデミーの作品賞、ノミネート作の中、実質4作品が競り合っている、と報じられていた。マーティン・スコセッシの『アイリッシュマン』、ホアキン・フェニクスの怪演で主演男優賞を取った『ジョーカー』、日本では来週公開される『1917 命をかけた伝令』、それにポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』の4作品。
『アイリッシュマン』も『ジョーカー』もエッジの立った素晴らしい作品であった。オスカーの作品賞を取っておかしくない。しかし、ポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』は、単に素晴らしい作品ということとは異なる。異質なんだ。乱暴に言えば大きな作品、と言える。
オスカーの作品賞を取るぞ、という予感があった。
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オスカー作品賞に英語以外の映画がノミネートされることは、極めて稀である。『パラサイト 半地下の家族』、韓国語映画。アジアの映画として作品賞にノミネートされることも初。
その『パラサイト』、オスカーの作品賞を取った。アジア初。やったー、ポン・ジュノ。
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黒い目隠しは、貧乏な半地下の家族・キム家の4人。白い目隠しは、裕福な高台の豪邸に住むパク家の4人。
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ある時、浪人中のキム家の息子・ギウに家庭教師の話が持ちこまれる。豪邸に住むパク家の娘の家庭教師。
状況は違うが、50年以上、60年近く前、夏休みに軽井沢に行く家の家庭教師に雇われ、初めて軽井沢に行ったことを思いだす。半地下に住んではいなかったが、貧乏学生ではあった。それはともかく・・・
ここから物語は次々に進んでいく。
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コメディー、シリアスドラマ、サスペンス、そしてヴァイオレンスドラマ、予測不能の展開となる。
その内、思うのは、何か大きいなということ。
まったく持って根拠はないのだが、フェデリコ・フェリーニを思った。ポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』、それほどの作品である。
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カンヌ国際映画祭でパルムドールを取っている。その時の写真であろう。
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今日のアカデミー賞授賞式、ポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』、作品賞ばかりでなく監督賞、脚本賞、それに国際長編映画賞も取った。当然。

『パラサイト 半地下の家族』、今年のアカデミー賞を席巻した。4冠。
韓国は沸いている。文在寅以下国中が。
そうであろう。日本の作品も取れなかったオスカーの作品賞をアジアで初めて、いや英語圏以外で初めて取ったのだから。