バイス。

「バイス」ってバイスプレジデントの「バイス」だから、副大統領の「副」だと思っていた。しかし、「VICE(バイス)」単独では、「悪玉」とか「悪徳」という意味だそうだ。その他、「邪悪」、「悪癖」、「不道徳」、・・・、と禄でもない意味ばかり。この映画で初めて知った。
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この男、ディック・チェイニー、たしかに「ワル」であった。
考えてみるに、ブッシュ・ジュニア、ジョージ・W・ブッシュ政権の主要閣僚にはワルが多くいた。ドナルド・ラムズフェルドやディック・チェイニーといったネオコンの連中だった。
まともなのはコリン・パウエルとコンドリーザ・ライスが浮かぶくらい。そのパウエルもガセネタによるとんでもない演説を国連で行うこととなったな(今日は、9月11日。18年前の9.11の日である)。
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<アメリカ史上最強で最凶の副大統領>って、ディック・チェイニー、まだ生きているのによくぞ作ったものだ、この映画。
監督:アダム・マッケイ、主演:クリスチャン・ベール、製作:ブラッド・ピット、3年前のあの『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のチームが再結集したんだ。
『マネー・ショート』は面白い映画であった。
リーマンショックの前、サブプライムローンだモーゲージ債だと怪し気な金融商品の破綻を見抜き、ウォール街を相手に逆張り、空売りで莫大な利益を挙げた4人組の物語であった。ブラピは、そこでは製作と共に出演もしていたが、『バイス』では製作に専念、監督のアダム・マッケイと主演のクリスチャン・ベールに存分に腕を振るわせた。面白くないはずがない。
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『バイス』、今年のアカデミー賞8部門にノミネートされた。作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、その他合計8部門に。アカデミーでは、メイクアップ&ヘアスタイリング賞のみ受賞した。
が、ゴールデン・グローブ賞では、クリスチャン・ベールが主演男優賞を受賞した。
クリスチャン・ベール、『マネー・ショート』とは様変わり、体重を20キロ増やしアメリカ史上最強で最凶の副大統領、ディック・チェイニーを演じた。極悪男を。みごとに。
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右は、サム・ロックウェル扮するブッシュ・ジュニア。
左は、テンガロンハットを被ったブッシュ・ジュニアが、ディック・チェイニーを副大統領にならないか、と誘うところ。ディック・チェイニー、ブッシュ・ジュニアにこう言うんだ。
「ジョージ、悪いが私は社長だぞ。それに国防長官や首席補佐官も歴任した。副大統領なんて形だけのものだろう。全部任せてくれ。内政問題や軍事問題、エネルギー問題、外交問題もすべて任せてくれ」、と。ブッシュ・ジュニアはそれをすべて飲む。で、最強、最凶の副大統領が誕生する。
チェイニー、ブッシュ政権を乗っ取り、イラク戦争をしかけ、莫大な利益を得た(チェイニーが、石油関連の巨大企業・ハリバートンCEOであったことを忘れてはいけない)。
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ディック・チェイニーに扮するクリスチャン・ベールばかりでなく、ブッシュ・ジュニアもチェイニーのカミさんも、ここにはいないがラムズフェルドもパウエルもライスも皆さんよく似ている。それも面白い。
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チラシにこういうおまけがあった。
右上に<極悪副大統領 チェイニー>と記されている。キリトリ線がある。切り取ってお面にするんだ。何とも言えないな。


今日のニュース、出てくるのは小泉進次郎ばかり。あとはグレーのネクタイがどうこうといった人や、赤いキャップを被ったいつも通りのウォーキングという人ばかり。
茂木俊充や河野太郎は吹っ飛ばされていた。
唯一というか唯二というか存在感を示していたのは、留任となった二人のみ。ひとりは不気味な官房長官・菅義偉、あとひとりは捉えどころのない幹事長の二階俊博。ともに70代。未だ30代の進次郎との間の40、50、60代をすっ飛ばしてみるのもありかもしれない。