クリムト。

この3日間、大阪とパンムンジョムでのショーを見ていた。
それはそれで面白かった。特に、大阪でのG20の「大阪トラック」とか「大阪ブルーオーシャンビジョン」とかといったことを吹っ飛ばすような、昨日のパンムンジョムでのトランプと金正恩のパフォーマンスには驚いた。グレートショーマンだな、この二人。
が、日常に戻る。
今年は、日本とオーストリアの外交樹立150周年だということは4日前に記した。さらに昨2018年は、クリムトとエゴン・シーレの没後100年にあたる。それ故、クリムトや世紀末ウィーンに関する催しが続く。
4日前に記した国立新美術館での「ウィーン・モダン」展、そして東京都美術館での「クリムト展」。
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東京都美術館のあの窓。
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ウィーンには世界に冠たる「美術史美術館」がある。それと共に、クリムトなどウィーン世紀末美術で知られるベルヴェデーレ宮殿国立オーストリア・ギャラリー(オーストリア絵画館)がある。クリムトの素晴らしい作品がつまっている。
過去最多のクリムト作品が展示されている今回展の多くは、そのベルヴェデーレ宮殿オーストリア・ギャラリー所蔵作を持ってきた。
圧巻。
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クリムトの画集が出てきた。
04/05/95という書きこみがある。1995年の5月の連休にウィーンへ行ったようだ。
その画集に、ベルヴェデーレ宮殿国立オーストリア・ギャラリーの小さなパンフがセロテープで貼られている。25年前のもの。
クリムト、エゴン・シーレ、真ん中には後の時代のフンデルトヴァッサーの作品も見える。ベルヴェデーレ宮殿オーストリア・ギャラリーの所蔵作品。
ベルヴェデーレ宮殿、電車で行ったのか、バスで行ったのか、タクシーを使ったのかは憶えていないが、ともかく行かなくちゃって思いで訪ねて行った。素晴らしいコレクションであった。
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ベルヴェデーレ宮殿国立オーストリア・ギャラリーのパンフ、4つに折られている。
その初めの部分を折り返す。
クリムトの代表作、≪接吻≫が現れる。ココシュカも。
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今回展のエースはこれであろう。
グスタフ・クリムト≪ユディト≫。1901年 油彩、カンヴァス。
黄金時代である。
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額縁もクリムト自身のデザインだそうだ。
官能と金である。
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≪女の三世代≫。
ベタだよなー。しかし、クリムトは「女」にこだわる。
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≪赤子(ゆりかご)≫。
クリムトの多くの油彩画が来ている。
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以下、クリムトの画集を複写する。
1897年、ウィーン分離派の記念写真。
左の方にクリムトの姿がある。
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クリムト、生涯独身であった。しかし、そのアトリエには常に何人ものモデルがいた。クリムトは、その多くのモデルと関係を持った。後に10人を下らぬクリムトの子供が認められたそうだ。
それはそうとして、クリムトの長年にわたるパートナーはエミーリエ・フレーゲであった。
クリムトと共に裾まで届く衣装を着けた女性である。
4日前の国立新美術館での記述で触れた≪エミーリエ・フレーゲの肖像≫のエミーリエ・フレーゲである。
クリムトの代表作である≪接吻≫のモデルは、この女性・エニーリエ・フレーゲであるそうだ。
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≪ヌーダ・ヴェリタス≫。画集から。
「裸の真実」という古来言われていることだそうだ。
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≪オイゲニア・プリマフェージの肖像≫。
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≪ベートーヴェン・フリーズ≫(部分)。
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≪ベートーヴェン・フリーズ(部分)≫。
ベートーヴェンの第九シンフォニーに触発された作品、全長34メートルに及ぶ。
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チラシに用いられているその一部を載せると、このよう。一筋縄ではいかないクリムトだ。


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3週間ほど前、「クリムト」という映画が封切られた。
ウィーン黄金時代のウィーンを追ったドキュメンタリーである。
とても面白い映画である。
が、現在までに封切られたのは、関東で4館のみ。今後全国にということであるが、それもさしたる数ではない。こんな面白い映画。
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クリムトの作品が流れる。
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ポルノ画家と言われてきたエゴン・シーレの作品も。
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美術の専門家ばかりじゃなく、ノーベル生理、医学賞受賞者の学者もクリムトについて語る。
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封切り上映のキネマ旬報の直営館には、幾つかのお勉強掲示があった。
クリムトやエゴン・シーレの解説。さらには、グスタフ・マーラーについては皆さんご存じであろうが、その横のヴァリー・ノイツィルという人について知っている人は少ないであろう。
ヴァリー・ノイツィル、クリムトのモデルのひとりで、1911年から15年にかけてはエゴン・シーレと同棲していた女性だそうだ。が、エゴン・シーレが25歳となった時、その関係はQ断ち切られる。何故かってことも述べられる。
世紀末ウィーン、クリムトやエゴン・シーレばかりじゃなく、ジークムント・フロイト、さらにはシュニツラーやヴィットゲンシュタイン、シェーンベルク、といったビッグネームがあふれ出てくる。
とても面白い。
そのようなことばかりじゃなく、ウィーンのこと、シェーンブルン宮殿や美術史美術館、リング通り、スターツ・オパー(国立オペラ劇場)が。