流山子雑録     『酔睡胡乱』

フェルメール展。


フェルメールがスーパースターになったのは、いつの頃なのか。100年前か200年前か、あるいはもっと前か。ここ何十年か、そのスーパースターとしての立ち位置、不動のものとなっている。
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上野の森美術館の前。
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フェルメールの作品、現存するのは35点程度と言われている。その内、8点が来ている。ということであったが、あと1点が付けたされた。
リタイアした後、2007年に1か月間ヨーロッパを歩いた。アムステルダムへも行き、アムステルダム国立美術館でフェルメールの作品が4点並んでいるのを観た。いずれも小さな作品であった。
オランダは小さな国である。さほど離れていない≪真珠の耳飾の少女≫のあるデン・ハーグのマウリッツハウス美術館へも行きたかったが、行かなかった。ロンドン、ベルリン、ケルンを経てアムステルダムへ入ったが、風邪を引いて疲れてしまったから。諦めた。
が、3、40年の間あちこちへ行っていたので、その間、アムステルダム国立美術館の4点を含めフェルメールの作品は半数少し観ている。ロンドンのナショナルギャラリーで、ルーヴルで、ベルリン国立美術館で、ドレスデン絵画館で、ウィーン美術史美術館で、メトロポリタン美術館で、計18点。で、私のフェルメール度、18/35となる。
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ここから入る。
何やらこっそりって感じだな。
フェルメールの作品は9点。同時代、17世紀のオランダ絵画約50点が来日している。
私は、この上野の森美術館があまり好きじゃない。狭いんだ。案の定、フェルメールに辿りつくまでは、久しぶりにぎゅうぎゅう詰めの満員電車に乗った状態であった。
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≪牛乳を注ぐ女≫。
窓辺。そこから差しこむ光、フェルメールをフェルメールたらしめているところ。
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≪手紙を書く婦人と召使い≫。
やはり窓からの光。
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≪赤い帽子の娘≫。
右側からの光。
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≪手紙を書く女≫。
400年近く前、17世紀半ばのフランドルの女性。この黄色い衣装もフェルメールだーって思いを抱かせてくれる。光はもちろん左側から。
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≪真珠の首飾りの女≫。
これも「ザ・フェルメール」といった作品だ。
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≪マルタとマリアの家のキリスト≫。
聖書に題材を取った唯一の作品。小品が多いフェルメールの作品の中では、天地158.5、左右141.5センチと最も大きな作品。
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≪リュートを調弦する女≫。
左側からの光を受けている女。女の衣装は黄色い。古い楽器であるリュートの調弦。後ろの壁には地図がかかっている。フェルメール好きには堪えられない。
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≪ワイングラス≫。
女が口に運ぶワイングラスはほとんど空で、男がつぎ足そうと待っている。どうも男には下心があるようだ。なぜなら・・・
<部屋の窓の紋章には、馬の手綱を持つ女性が描かれる。この女性像は「節制」の擬人像で色恋沙汰を戒める寓意であるという>、と説明書きにある。いつの時代も変わらないものだ。
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当初フェルメールの作品が8点来日で、8/35となっていたものが、この作品が追加出展された。で、8をバッテンで消し、9/35としてある。芸が細かいと言えばいいのか、えげつないと言えばいいのか。
≪取り持ち女≫がドレスデン絵画館から来日した。
画題は見ての通り。<フェルメールが主要画題を歴史画から風俗画へと転じる画期となった作品>、と説明書にある。これもフェルメールかってものに、私には思える。
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「日時指定入場制」は、とてもいいシステムである。他の展覧会でもどんどん取り入れるべきであろう。それでもぎゅう詰めであった。入る日時は決まっているが、閉館時間まで出なくてもいい、ということであるからだ。いっそ総入替えにした方がいい。
チケットは前売り2500円、当日2700円と通常の展覧会より高い。が、小冊子と音声ガイドが付いているので、まあいいかであろう。
音声ガイドは石原さとみが起用されていたが、イマイチ。さしたるものではなかった。