ヴァン・ゴッホ。

絵が好きな人、印象派が好きって人が多い。
じゃあ、その中で誰が一番好きか、と訊いたらどういう答えが多いのであろうか。おそらく、ゴッホじゃないかな、と考える。
パリでは、ルーブル、オルセー、ポンピドゥー、という特徴のある3つの美術館が住み分けている。オルセーが担っているのは、19世紀の美術である。
特に、印象派。マネ、モネ、ルノワール、ピサロ、ドガ、シスレー、セザンヌ、スーラ、ゴッホ、ゴーギャン、・・・・・。その中で、いつも最も多くの人が群れているのは、ゴッホの作品がある部屋である。
ゴッホの母国・オランダのアムステルダムには、世界屈指の美術館である国立アムステルダム美術館がある。レンブラント、フェルメール、その凄まじさに圧倒される。そのすぐ近くにゴッホ美術館がある。やはりオランダ国立の美術館である。中は凄い混雑ぶり、世界中からゴッホを観に来ている感じがあった。ゴッホの人気は世界標準だな、と思った。
20年ぐらい前、カトマンドゥの博物館で、修復をしている若い男と会った。話していると、絵を描いているという。絵描きじゃ誰が好きなんだ、と訊いた。彼の答えは、ゴッホが好きだ、というもの。なるほど、と思わず納得した。
彼のようなネパールの若者に限らず、絵が好きで描いている世界中あちこちの若者たち、その多くは、ゴッホが好きなんだ。特に、第三世界の国々の若者たちにとっては。
モーリス・ピアラ、という映像作家がいる。ヌーベルバーグの監督たちへも影響を与えた。という映像作家である、というが日本では2作品しか公開されていない作家だそうだ。私は、知らなかった。
昨秋、没後10年の催しが持たれた。もちろん、ちっぽけなところでの単館上映。

モーリス・ピアラ、1925年に生まれ、2003年に77歳で死んでいる。
この映画『ヴァン・ゴッホ』、脚本・監督:モーリス・ピアラ。主人公のヴァン・ゴッホに扮するのは、ジャック・デュトロン。
ヴァン・ゴッホ、最晩年の2か月少しの物語である。
1890年5月20日、ヴァン・ゴッホ、療養のためオーヴェル・シュル=オワーズへ行く。パリ北西30キロばかりの農村である。

ガシェ医師を訪ね、治療を受け、絵も描く。
≪オーヴェルの教会≫、≪カラスのいる麦畑≫が描かれる。なによりも、≪医師・ガシェの肖像≫も。

ガシェ医師の娘との恋物語も挟まれる。しかし、これはフィクション。

モーリス・ピアラ、「未知の巨人」とも言われている。
よく解からない。
ヴァン・ゴッホとその弟・テオの物語は、よく知られている。テオが兄貴を支えた、と。
後半、ヴァン・ゴッホとテオ、娼館のようなところで馬鹿騒ぎ、乱痴気騒ぎをする場面が出てくる。把握するには難しい。
実はこの作品、凄いとの評を下す人が多い。
何とも難しい。”そう思ってもいいが”、というのが正直なところ。