ヨコトリ2017(2) ワールドワイド。


ボランティアのガイドの人、どんどん進んでいく。
この左、面白そうだなと思ったが、通り過ぎてしまった。じゃ、後で戻ってみよう。
前へ。

これは面白い。
三日月のようなものも、正面の作品も。

大きな作品である。

作者は川久保ジョイ。タイトルは≪アトラスの壁≫。サブタイトルに「研磨された壁」とある。
「アトラスの壁」、ずいぶん高低差のある壁であるが、これで天を支えているのか。

左右に西暦が記されている。

天地にも数値が記されているが、これはどういうものだったか思いだせない。
「単位units:¥/㎡」ということは読みとれるのであるが、これがどういう単位なのであるのかは不明。ひょっとして環境問題、炭素の問題か。

ボランティアのガイドの人、男女2人組みで、この作品はこの若い女性が説明をした。が、私はよく聴いていなかったようだ。

作家・川久保ジョイによるこういう書きこみがある。英語と日本語で。
読みづらいが<この壁はぜひさわってください かわくぼジョイ>、と読みとれる。

皆さん、さわる。

実はこの作品、サブタイトルにもあるように研磨した、磨きだしたものなんだ。
そうすると、壁の中から何層ものものが現れた。このように。
忍者が放った手裏剣のようにも見える形が現れた。優美で典雅な色調の中に。神話世界のアトラスの壁である。
・・・・・、・・・・・、・・・・・。
なお、ボランティアの若い女性の名誉のために言っておくと、この前半部分はそうであるが、忍者の手裏剣以下の部分は私の妄想であります。念のため。

このクロワッサンにしては細長い三日月のような作品にも惹かれた。

やはり川久保ジョイのこのような作品である。
テラ・アウストラリス、メガラニカ・南の方にある想像上の大きな大陸である。「アトラスの壁」もそうだが川久保ジョイ、地球、世界、場所、ということに思いを寄せている模様だと見てとれる。
実は作家の川久保ジョイ、日系人だとは思うが、スペイン生まれでロンドン在住の作家である。ワールドワイドな作家である。

クロワッサン・三日月の下の方を見てみる。
<子午線の拓本>、とある。
さまざまな書きこみがある。
<C.Colombus 1492>があるかと思えば、近場では、<2014 プロメテウスの山>、<2015 二百万年の孤独>、<穴を掘る 2016>、<2017 イマジナリーラインズ>まで。
思いは地球、世界なんだ。




先ほど通りすぎたここへ戻る。
オバマが描かれた展示へ。

ワシントンD.Cに生まれニューヨークに住んでいるロブ・プルイットの作品。
カンバスにアクリル。

作家のロブ・プルイット、オバマが大統領に在籍していた2009年1月20日から2017年1月20日までの8年間、毎日ニュースに出てくるオバマを描いたそうだ。
その数、驚くなかれ2922点。
そうはいっても、驚く。

オバマとメルケル。

オバマと習近平。

オバマ、何か考えこんでいるようだ。
禄に考えない今の大統領・トランプも、たまにはじっくり考えることも必要であろう、と思っているのだが、まったくその気配はないな。




ここへ来た。

モニターの映像、砂漠だな。

作家の名は、ザオ・ザオ。
タイトルは、≪プロジェクト・タクラマカン≫。
中国・新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠に大きな冷蔵庫を持ちこみ、それで冷やしたビールを飲もう、というプロジェクトである。
冷蔵庫でビールを冷やすには、電気を引かなくてはならない。

タクラマカン砂漠に設置する冷蔵庫である。

赤い服に青いヘルメットの作業員がタクラマカン砂漠に挑んでいる。

タクラマカン砂漠に電線を引くんだ。

車も使って。

タクラマカン砂漠に設置した冷蔵庫で、冷やしたビールを飲むために。
中国という国、とてつもないことをする。
昨日であったか、東京を訪れているトランプに首にされてもトランプ支持を続けるスティーブン・バノン、中国の「一帯一路」について警告を発している。「一帯一路」が成功したら中国の絶対支配権が確立するぞ、と。
中国という国、日本とはまるで違う。
「白髪三千丈」は嘘じゃない。ホントにそうなんだ。やることがデカい。
ずいぶん前になるが、タクラマカン砂漠の少し北、トルファンからウルムチへバスで走っていたことがある。その途中、風力発電の大きなプロペラが次から次へと現れた。行けども行けども大きなプロペラが窓外に続いた。ハンパじゃないんだ、その数が。
日本じゃ考えられない数であった。

ザオ・ザオの作品。
中国人、タクラマカン砂漠へ電線を運んでいる。砂漠でビールを飲むために。
我ら日本人、どうする。