京都・洛西苔めぐり(12) 退蔵院。

洛西松尾の鈴虫寺を出たのは1時前、洛西の苔めぐりあと一か所、どこにするか考えた。
すぐ近くバスでひと駅の松尾大社にするか、太秦の先、洛中に近いが洛西に入る花園の妙心寺にするか。
妙心寺にした。
苔寺・すずむし寺駅のバス停から30分ばかり、妙心寺前のバス停に着く。途中から雨が降ってきた。

バスを降りてすぐ、大本山妙心寺の大きな看板。

妙心寺、臨済宗妙心寺派の大本山。
   わが身このまま空なり 衆生は本来仏なり 和やかに・・・

妙心寺は大寺である。
その境内に46の塔頭を持つ。
まず山門を入って左手前の塔頭・退蔵院へ。

退蔵院、このような寺。

退蔵院の山門・薬医門。

方丈の廊下にお年寄りの団体が座り、案内の人の話を聞いている。
右下の人は何かを覗いている。

これである。
わが国山水画の始祖と言われる如拙が、将軍・足利義持の命により描いた≪瓢鮎図≫。国宝である。
もちろん、ここにあるのは国宝そのものではない。複製である。
≪瓢鮎図≫、「瓢鯰」ではない、「瓢鮎」である、念のため。読みは「ひょうねん」、これも念のため。

くねくねとした鯰を小さな瓢箪で捕まえようとする。
その矛盾を何と考える。

権力者というものは、困ったことではあるが、時としてむちゃくちゃなことを考える。
将軍・足利義持、如拙に瓢箪と鯰を描かせ、その上、京都五山の禅僧31人に参詩を書かせた。上の≪瓢鮎図≫の上部をご覧ください。
京都五山の高僧たち、将軍の命である、苦労してひねりだしたのであろう。

元信の庭。

陰陽の庭。

こちらは「陽の庭」であったか。

退蔵院の境内をめぐる。

余香苑。
昭和40年に完成した庭園だそうだ。昭和の名園と言われている、という。

雨が降っている。戻る。水琴窟も。

苔模様。

雨、強くなる。

雨、蓮の葉に水滴。
歴史の裏づけ、何かを加える。

退蔵院の軒瓦。軒丸瓦。
方丈で行きあったお年寄りの団体の案内の人、退蔵院の軒瓦・」軒丸について、こう語っていた。
「軒丸は、如拙の≪瓢鮎図≫が表わされている」、と。
国宝とは何か、と。瓢箪も鯰もどういうことでってで。軒丸の紋様、鯰かな。

退蔵院から出て、大本山妙心寺の境内、桂春院へ向かう。
妙心寺の法堂と仏殿、雨の中。

雨の中、この人、駆け抜ける。


今日、長崎原爆の日。
朝から出ていて、記念式典をリアルタイムで見ることはできなかった。
が、その模様、夜遅くのニュースで見た。
国連事務次長兼軍縮担当上級代表の中満泉も列席したようだ。グー。
ただ、トランプと金正恩が角突き合わせている、との報道もある。
どうすんだろね、お二方。