京都・洛西苔めぐり(13) 桂春院。
洛西苔めぐり、やはり妙心寺の塔頭・桂春院の苔を見て打上げとする。
46もの塔頭が立ち並ぶ大本山妙心寺、その境内は広い。桂春院は退蔵院の対角線、ほぼ反対方向にある。雨の中、歩く。
桂春院、小ぶりなものであるが、その庭が知られる。
庭園は3つとなっているが、趣きのある庭園が4つある。
<仏 法 僧>、受付を入った所にこのポスターが貼ってあった。
<おかげさま>。
庫裏に入ってすぐ坪庭がある。「清浄の庭」と呼ばれる。
紀州から運んだ奇石を直立させている。
枯滝の石組み。
雨に濡れ美しい。
向こうは・・・
「侘びの庭」。小さな路地庭である。
なお、桂春院の4つの庭、この「侘びの庭」に限らずいずれも小ぶりな庭である。作者はいずれも小堀遠州の高弟・玉淵坊(1661年没)であろう、と桂春院のパンフにある。
雨に濡れ、緑一色となった「侘びの庭」、得も言えず。
儚げな門は「梅軒門」。その向こうは・・・
「思惟の庭」。
石と苔。
方丈の南側に来た。「真如の庭」である。雨の中、職人が剪定作業をしている。
「ツツジの剪定ですね」って声をかけた。「どのぐらいで剪定するのですか」、とも。「剪定は年に1回です」、との答え。花の終わった7月初めのころ剪定するのだ、とのことだった。そうでなければ花芽を切ってしまうから、と言っていた。目の前に土がなくコンクリの箱の中に住んでいる私、このようなことも知らなかった。
いずれにしろ「真如の庭」、このようなもの。
方丈の中を見る。
ボーとしているが、正面の襖絵は狩野山雪(1559〜1635)の筆になる≪金碧松三日月≫。
雨は降り続く。苔が美しい。
ここから庭の外側へ。
雨は降る。
通路は続いているが、途中で引き返した。
緑、あおみどり一色。
木の葉も地上の苔も。
洛西苔めぐり、嵯峨野の祇王寺の苔も松尾の西芳寺(苔寺)の苔も素晴らしいものであった。最後に桂春院で雨の中の苔、雨に濡れる苔を見ることができた。
洛西の苔めぐり、堪能した。
桂春院を辞する時、これに気がついた。
手を合わせる。
妙心寺でなくとも、禅宗でなくとも、仏教でなくとも、そうだよな。