リオ五輪 吉田沙保里のその日。

吉田沙保里が敗れた。
2001年、山本聖子に敗れて以来、個人戦では15年間で206連勝。霊長類最強の女と言われた吉田沙保里が。

連勝記録では、半世紀以上前のボクシングヘビー級チャンプ、ロッキー・マルシアノを思い出す。49戦無敗で引退した。
おそらく吉田沙保里もリオ五輪の舞台で勝ち続け、個人戦207連勝で引退を表明したかったのではないか。
しかし、それよりも少し早くその時、その日が来た。

レスリング女子2日目、いよいよ吉田沙保里が登場した。

女子53キロ級の初戦、アゼルバイジャンの選手を4−0でやぶる。

63キロ級、川井絵莉はポーランドの選手を5−0でやぶる。

75キロ級の渡利璃穏、1回戦でブラジル選手に敗れ姿を消す。

準々決勝の吉田、セネガルの選手を9−0で下す。準決勝へ進む。

会場には、昨日金メダルを取った登坂絵莉と土性沙羅の姿がある。
共に頬にペイントを施している。登坂は「日の丸に日本」、土性は「I ❤ JAPAN」。
小さな登坂も大きな土性もカワイイ。

伊調も会場に来ている。
が、32歳の伊調馨、21や22の若い女の子と異なり、大人の雰囲気。

川井梨沙子、準々決勝でラトビアの選手を8−2で破る。準決勝へ駒を進める。

吉田、準決勝でベネズエラの選手を6−0で破り、決勝へ。
これで、吉田沙保里の個人戦の連勝記録、206連勝となる。

吉田沙保里と栄和人。
二人で勝利を重ねてきた。

川井、ロシアの選手を10−0、テクニカル・フォールで破り決勝へ。

吉田と川井が決勝へ歩を進めた。
3位決定戦もある。決勝戦は5時ぐらいである。二晩続けての徹夜は厳しい。おまけに今日は外での用もあった。決勝の模様はニュースで見ることにした。

夜のニュースで見た吉田沙保里の決勝戦、吉田、アメリカの若い選手に敗れた。
15年間、個人戦無敗で君臨してきた吉田沙保里にその時、その日が訪れた。

負けた吉田、マットに顔をつけ涙を流す。

吉田沙保里にその時、その日がきた。

負けた24歳のアメリカ選手と抱きあっても涙。

吉田沙保里、「金を取るつもりでいた、申しわけない」、と声を振り絞る。

そんなことはないよ。
吉田沙保里、貴女は偉大なチャンプである。

その時、その日は、どのような偉大なチャンプにも訪れる。
今日、それが吉田沙保里に訪れた。
泣くな、吉田。
貴女は、偉大なチャンプであった。



バドミントンダブルスが金を取った。

録画を見ただけだが、このペア「タカマツ」ペア、世界を制した。

第1試合は取られた。

第2試合は日本が取り、勝負は第3試合にもつれこんでいる。


追い込まれた日本ペア、5ポイントを連取、金を取る。

表彰式。
日の丸。


シングルスは準決勝でインド選手に敗れた奥原希望、3位決定戦の相手、中国の選手が負傷棄権、3位、銅メダルとなる。

レスリング63キロ級の若い川井は金を取る。
33歳の吉田沙保里、32歳の伊調馨、たしかに全盛期の力はない。
偉大なチャンプにもその時が来たようだ。
吉田沙保里にとっては、今日がその時、その日であろう。