やはり、取った。

目が覚めると、伊調も小原も勝っていた。
二人共とは正直考えなかったが、ここは、「やはり、な」と思うべきじゃないか、と思い直した。レスリング女子なんだから。自信を持って大きく構えなきゃ。
今日、何度も何度も繰り返し流れたその映像を、何度も何度も繰り返し見た。小原日登美も伊調馨も金メダルを取ったんだから。NHKの画像から。

48キロ級の小原日登美の決勝戦、アゼルバイジャンの選手に先行された。
1ラウンドを取られ、後がない。しかし、2ラウンド、3ラウンドと取り、逆転勝利。

勝った瞬間、小原日登美、手で顔を覆った。
31歳にして、最初で最後のオリンピック、脳裏に浮かぶ思い、数限りなくあったろう。

表彰式の国旗掲揚。
1位は日本、2位はアゼルバイジャン、3位は2人でカナダとアメリカ。

優勝者・金メダルの小原日登美を中に、左に銀メダルのアゼルバイジャンの選手、右に銅メダルのカナダとアメリカの2人の選手。
このカナダの選手もアメリカの選手もアジア系の選手である。カナダの選手の名は、キャロル・ハイン。中国系かな。
アメリカの選手の名は、長い。Clarissa Kyoko Mei Ling Chun という。クラリッサ・キョーコ・メイ・リン・チャンとでもいうのか。キョーコもあり、メイ・リン・チャンもある。日本人の血も中国人の血も引いている選手じゃないのか、と思われる。小柄な選手でショートヘア、とても可愛い選手である。

63キロ級の伊調馨の決勝戦。
相手は中国の選手。準決勝までなかなか強い選手であったが、伊調馨、ねじ伏せた。
伊調馨、オリンピック3連覇を果たす。伊調馨、どこまで強いんだ。

伊調馨、勝った後、相手の中国選手と抱き合う。この光景もなかなか良かった。
実は、試合の決着がついた後、勝者と敗者がお互いの健闘を称え合い抱き合う、という光景、あまりない。これはレスリングに限らず柔道でもそう。私は、不満に思っている。で、伊調馨の中国選手との抱擁、気持ち良かった。

日の丸を纏う伊調馨。
国旗を纏うことができるのは、メダリストの権利。なお、左のスキンヘッドの男は、レスリング女子ではお馴染み、コーチの栄和人。

表彰式の国旗掲揚。
優勝の日本を中心に、左に準優勝の中国、右に3位のモンゴルとロシア。
48キロ級ではアメリカ国旗を従え、63キロ級では中国とロシア国旗を従える。レスリング女子ならではの痛快事。

ここからは、今日のレスリング女子である。
55キロ級、1回戦に登場の吉田沙保里は、アメリカの選手を破る。

72キロ級の1回戦、浜口京子の相手はカザフスタンの選手。第1ラウンドを取られる。

お馴染みのこの2人、”気合だハチマキ”、”京子ハチマキ”を締め、試合を見守る。だが、元気がない。アニマル浜口のアニマル度、やや下がったか。

1ラウンドを落とした浜口京子、第2ラウンドは取り、第3ラウンドも延長に入る。浜口京子、ボール・ピックアップで運に恵まれるが、逆転を喫す。1回戦敗退。
浜口京子、随分長い間頑張ってきた。でも、34歳になった。ここいらが潮時か、と思う。もう、京子さんを自由にさせてやれ、34歳にもなったのだから、と思う。
しかし、だ。このままでは悔しい、と言っているそうだ。親父のアニマルが言うのなら解らないではない。しかし、娘の浜口京子自身もそのようなことを言っている、と言う。
もう十分だよ浜口京子、たしか貴女は、世界選手権を5度も取っているはずだから。もう矛を収めてもいい時期だ。

この男の顔が出てきた。朝青龍、モンゴルの応援団長としてロンドンへ来ているそうだ。
昨日の63キロ級で、モンゴルの選手が銅メダルを取った時には、凄まじい雄叫びを上げていた、と言う。

吉田沙保里、準々決勝ではアゼルバイジャンの選手を破り、準決勝へ。

実は、親父がシャカリキになっているのは、アニマル浜口ばかりじゃない。
吉田沙保里の父親もレスラーだ。娘を鍛えた。娘は、超のつく一流選手になった。いや、それ以上の選手に。
その父親・吉田栄勝、日本レスリングチームのコーチになったそうだ。だから、セコンドにつくことができる。嬉しかろう。この右側を歩く眼鏡の男。

無敵の吉田沙保里、この5月のワールドカップの団体決勝戦で、連勝を止められたそうだ。
吉田沙保里の連勝を止めたのは、ロシアの若い選手。今日の準決勝で対戦したこの選手である。ワレリヤ・ジョロボワ、とてもすばしっこい選手である。

しかし、吉田沙保里は強い。
第2ラウンドも2ポイント奪い、吉田沙保里の勝利は近い。とは言っても、まだ30秒近くある。でも、ロシアのコーチは後ろを向いてしまっている。
吉田沙保里、決勝へ進出した。
決勝の相手は、カナダのベテラン選手。吉田、勝つに違いない。

オリンピックにかまけているが、今日は、長崎原爆の日。67年前の今日、長崎に原爆が落とされた。
長崎では、万灯流しが行われた。
夜、爆心地近くを流れる浦上川に、約1300個の灯りが流されたそうだ。