エベレスト 3D。

1953年の初登頂以来、エベレストへの登頂者は4000人を超えるそうだ。公募登山、いわば商業登山が行われるようになってからは、第一級の登山家でなくてもエベレストへ登る人が多くなった。
そうは言っても、なまなかなことで登ることができる山じゃない。

昨秋、近所のシネコンにはこのようなスタンディが。
地球上で最も危険な場所へ、か。

『エベレスト 3D』、監督:バルタザール・コルマウクル。
1996年5月10日、エベレストで実際に起こった遭難事故の映画化である。
ニュージーランドの登山家であるロブ・ホール、アドベンチャー・コンサルタンツという商業登山会社を立ち上げる。金をとってエベレストへ登りたい人のサポートをする。ロブ・ホールに扮するのは、ジェイソン・クラーク。

『エベレスト 3D』、3Dでの映像、迫力がある。

エベレストへの商業登山、料金は65000ドル。日本円では、まあ6〜700万円。安いのか高いのか、何とも言えない値付けではある。

そうは言っても、金さえ払えば誰でも参加できる、というものではない。それ相応のキャリアを有する者のみである。
1996年のロブ・ホールが率いるニュージーランドの商業登山・アドベンチャー・コンサルタンツ社のツアーには、医者、ジャーナリスト、郵便局員、など9人の人が参加していた。7大陸最高峰登頂にはエベレストを残すのみ、という日本人女性・難波康子も。

アイスフォールはこうして渡る。

ベースキャンプは5364メートルの所。頂上へのアタックをかける第4キャンプは7951メートル。それ以上はデス・ゾーンである。
が、エベレスト登頂への過程、あちこちで渋滞している。商業登山隊を含め、さまざまな登山隊がひしめいているんだ。「地球上で最も危険な場所」と言われている所に。
1996年5月10日、悲劇が起きる。
ロブ・ホール率いるアドベンチャー・コンサルタンツ隊やそのライバル隊、気象の急変により8人が命を落とす。
田部井淳子に次ぐ日本人女性2番目のエベレスト登頂者であり、7大陸最高峰登頂者となった難波康子も。
エベレストへの登頂、午後2時までに為されねばならない。それ以降であれば下山が難しい。ロブ・ホールが言っていた鉄則である。しかし、ロブ・ホール、顧客の懇願に応じ、午後2時を過ぎていたにもかかわらずエベレスト頂上へ向かった。
で、結果として死んだ。
プロとしての規範を自ら逸脱したんだ。そう言わざるを得ない。

エベレストのピーク、美しい。
エベレストに行ったことは、もちろんない。
が、エベレストを見に行ったことはある。
最初は20数年前、カトマンドゥから小型飛行機でエベレストを見に行った。案内役の女性、「ザッツ・ブラック・ワン」、と叫んでいた。エベレストの頂上、雪が落ち、黒く見えた。5月のゴールデンウィークの休みか8月のお盆休みであったか。思い出せないが。
この映像、おそらく5月であろうと思われる。しかし、思い出さない。が、そうであろう、との感覚がある。