版による展。

木版、銅板、石販、・・・、幾つもの技法を使った版画のグループ展である。タイトルは、「版による」。あちこちのグループに加わっている犬飼三千子、ここへも参加している。

数日前の京橋3丁目、ギャラリー・檜 B・C。

ギャラリー内に入る。
オッ、正面に犬飼三千子の作品が見える。犬飼三千子の木版画。

暫らく前に届いた犬飼三千子からの案内ハガキには、「白黒の作品を出します」と記されていた。
タイトルは、≪花に寄せて(A)≫から≪花に寄せて(D)≫まで。サイズは、それぞれ60×90センチ。
ずっと見慣れていた色のついた”花に寄せて”より美しい。犬飼にそう言うと、「またー」って言いながら叩かれてしまった。なお、右側の安定感のある女性が作家・犬飼三千子である。

犬飼三千子、こう話す。
右側は日本の鳥の子紙で、左側は韓紙だ、と。それに刷った、と。
犬飼三千子、日韓美術家なんとか連盟だか何だか、そういうものに属している。言ってみれば、政治の世界ではいろいろあるが、日本と韓国の美術家は仲良くしよう、とでもいうものであろう。だから、韓国へも行き、韓国の紙・韓紙にも触れたのであろう。
犬飼三千子、こう言う。
右側の鳥の子に刷ったものは黄色っぽく、韓紙に刷ったものは白い、と。たしかにそう。和紙の鳥の子ほ方が深みがあるような感じである。
近づくと、

犬飼が描くその描線も面白い。
色刷りのものより、黒一色のほうが味わい深い。

田中利幸≪静物(サクランボ)≫。メゾチント。
実は、前から撮っても斜めから撮っても、写りこんでしまう。黒っぽいメゾチントだから。浮かんでいるようなサクランボがなんとか感じられようか。
それはそれとし、後ろに写りこんでいる何点かの作品に惹きつけられた。

ヒロ・イケダのdegital print、「デジタルは語る」。

この人、今、5〜60代以上の人にとっては忘れられない人である。
はぐれもん・抵抗者の平岡正明は、”菩薩”と呼んだ。

この人も忘れられない人。
世間の多くの人は、”天才”と呼ぶ。
作家のヒロ・イケダさんにブログへの掲載の許可を取ろうとした。しかし、ヒロ・イケダさんはその場にいなかった。
と、横の方から、「どうぞどんどん載せてください。かまいませんよ」、という声がした。振り向くと、明るい元気印の男性。「私のも載せてください」、という。
名刺もくれた。ツトム・ミズタさん。

ツトム・ミズタさんの作品、この後ろの作品だ。

ツトム・ミズタ≪Golden Glory≫。リトグラフ。
美しい、この作品。ウォーホルを思う。
本展、明日、5日まで。


2020年の東京オリンピック・パラリンピック、その競技場に聖火台がないことが分かった、っていうことが報じられた。
大事なことがポカンと抜けていたなんてことは、ままあることである。これもそうかもしれない。
それにしてもである、やはり。